ほぼ毎年訪れている南仏プロヴァンス。
故ピーターメイル氏の世界的ベストセラーをきっかけに、すっかりその魅力にはまってしまいました。そして様々な季節に訪れましたが、いつもとても魅力的です。
おすすめしたい場所はいくつもありますが、その中から一度は訪れてほしいリュベロンの美しい村々を紹介していきます。
- リュベロン地方はどこ?
- 理想の移動手段やルート
- ゴルド(Gordes)
- セナンク修道院(Abbaye Notre-Dame de Sénanque)
- ルシヨン(Roussillon)
- Pont-Julien(ローマ時代の石橋)
- ボニュー(Bonnieux)
- ラコスト(Lacoste)
- メネルブ(Ménerbes)
- オペド(Oppède-le-Vieux)
- リュベロン山脈の南側(Update)
- 最後に
リュベロン地方はどこ?
南仏の代表的な町、アヴィニョン(Avignon)が旅の出発点になります。
アヴィニョンには空港はありますが、非常に小規模のため、一般的な観光目的では利用が難しいです。しかし、パリからであれば TGV(フランスの高速鉄道)が3時間程度で一気に南仏まで連れて行ってくれます。
またはマルセイユやニースからのアクセスも可能です。
ちなみにウチの場合、ドイツから約950キロ、車で休憩も入れて9時間前後の旅です。
アヴィニョンをベースにリュベロン地方を見てみるとちょうど下の地図のような位置関係になります。ちょうど東西に走る幹線道路D900を挟んで北と南の山々に村が点在しています。
理想の移動手段やルート
残念ながら現在、リュベロン地方に電車はありません(かなり前に廃止されています)。そのため交通手段は、バスか車になります。
このエリアも過去20年で見違えるほど道路も良くなり、走りやすくなったので、機動力を考えればレンタカーがもっともおすすめです(バスでは村々をうまく繋げない)。
またはアヴィニョン発のツアーに参加するのもいいかと思いますが、できれば数日かけて泊まりながら回ってほしいルートです。
ゴルド(Gordes)
最初のルートはアヴィニョンからリュベロン地方でもっとも有名な村、ゴルド(Gordes)に向かいます。車で約40-50分(40キロぐらい)の移動となります。
最初の見どころは、なんといっても町に入る前に目に飛び込んでくるこの風景です(町の向かいの丘に小さい駐車場があり、この風景が撮影できます)。
下から一気にせり上がる岸壁から頂上に石造りの家々や教会、お城などが立ち並び、『天空の城』のような姿に圧倒されます。
これだけの風景、『フランスの最も美しい村』にも選ばれています。
町の中心にはお城と広場が広がり、お土産屋やカフェが点在しています。
超が付くほど観光のメッカなので、夏場は人も車も入りきれないほど、この小さいな町に押し寄せます。ぜひ季節外れに訪れてみてください。
街中は狭い石畳の路地と激坂の連続で迷いそうになりますが、これが楽しい!
また、お城の前の広場は、ラッセル・クロウ主演の映画『プロヴァンスの贈り物』の舞台にもなった場所。
セナンク修道院(Abbaye Notre-Dame de Sénanque)
ゴルドを訪れたのであれば、是非、立ち寄ってほしいのがセナンク修道院です。ゴルドからは10-15分程度ですが、一旦峠を越え一気に谷底にある修道院まで向かう道は狭くカーブの多い、ややハラハラするルートです。
よく交通止めや一方通行になっていたりするので注意が必要かと思います(事前にGoogle Mapで通行可能か確認しましょう)。
このセナンク修道院は、シトー会派の修道院としては『プロヴァンスの三姉妹』と呼ばれるほど有名であり、また現在はその周りに広がるラベンダー畑とともにプロヴァンスを代表する写真にもよく掲載されています。
廻りのラベンダーからは精油だけでなく、はちみつも得られ、修道院の重要な収入となっています。
7月中旬から後半ごろのラベンダー刈り取り期に訪れると、この谷一杯がラベンダーの香りで包まれてめまいがしそうなくらいです。
ルシヨン(Roussillon)
さて次に向かうのはゴルドの東、約15キロ(車で20分程度)のところにあるルシヨン村。ここは赤や黄色の黄土(オークル)の丘に建つ村です。
町中の建物がこの黄土の色に染まったような、他の村では見ることのできない色彩の村です。そしてこの村はリュベロン地方でゴルドに次ぐ観光地。イースター明けの観光シーズに入ると町の中は観光客でいっぱいになります。
そしてこの村も『フランスの最も美しい村』に選ばれています。
また、お土産にはこの村ならではの日時計はいかがでしょうか?町のいたるところで、いろいろなデザインの日時計が見られます。
町のはずれに出ると黄土の地層が確認できます。
また、有料(3ユーロ)ですが、”オークルの道”と名付けなれた遊歩道には、大きくえぐりとらえたような赤土の壁があり、”巨人の道”と呼ばれています。
Pont-Julien(ローマ時代の石橋)
ルシヨンから南に向かい、一旦リュベロンを真ん中を東西に横切る幹線道路D900へ出ます。そこからさらに南に向かうと、急に道幅の狭い橋が現れます。
そこが Pont-Julien と呼ばれるローマ時代の石橋です。
ただし現在は、脇に新しい橋が架けられ自動車での走行はできません。また橋のそばに駐車場も設けられ、見学するには便利になりました。今では徒歩か自転車で橋を渡るだけです。
私たちは過去に幾度となくこの橋を車で走っていました。道幅が狭いので一台が走るのがやっと、写真でもお分かりのように中央が高くなっているせいで、向かいの車は見えないんでそろそろと走っていました。
見学は無料とは言え、以前のように何気なくローマの石橋を渡っていた時のほうが感慨深いです。駐車場とかもできて今では見学する橋になってしまったのが残念でもあります。
ボニュー(Bonnieux)
次に紹介する村はボニュー村。
この村も山の斜面に広がる石造りの美しい村です。
村の一番高いところにはロマネスク建築の旧教会があり、ここからの眺めは最高!リュベロン一帯を一望することができます。またとても大きな杉の木があります。
そして町の中は迷路のような石畳の坂道。とにかく歩いているだけでどこに出るかわかりませんが楽しいです。
また、この村も他の村々同様にネコが姿が多い。
ゆっくり時間をかけて歩いてみてほしい村です。
この村の郊外には欧州政治家の別荘などもあり、田舎の村でありながら高台からあたりを見渡すと確かにたいそうな別荘がいくつも見えます。
また、村の下部にある教会前の広場では毎週、朝市が行われていますが、かつては多くの日本人が観光バスで乗り付けていました。今はもう日本人と出会うことも少なりなりました。
ラコスト(Lacoste)
ここはサド侯爵が領主であったことと、その居城が現在も廃墟として山頂に残る村です。
現在は多くの芸術家が移り住み、いろいろなギャラリーが石造りの町に点在しています。そのためか、他の村と異なり昔の家を残しつつも、さびれた感は無いイメージがあります。
また、この地で取れる白い石を多用しているためか、他の村に比べ町全体が白く感じます。
ゴルドやルシヨンに比べると観光客も少なく、静かに石畳の坂道を上り、サド侯爵の居城跡まで登ったら、ゆっくりと周りの景色を楽しんでください。
居城跡が最近はすっかりきれいに整備されてしまい、やや興ざめです。廃墟は廃墟のままのほうが趣があると思います。
それでも、ひっそりしている感じが好きな村で、数年に一度は訪れています。
メネルブ(Ménerbes)
次に紹介する村はメネルブです。
この村も『フランスの最も美しい村』に選ばれておりますが、観光化を拒否したように静かで生活感のある村です。
Image by Hans Braxmeier from Pixabay
また、この村の郊外には前述の故ピーターメイル氏が最初にイギリスから移り住んだ家がありました。ここでの生活を綴った『プロヴァンスの12か月』でもよく出てくる村です。
皮肉にもこの世界的ベストセラーのため、一気に観光客が訪れ、彼の住む街道沿いの旧農家をリフォームした家にまで観光バスが来る始末だったとか(日本の観光客とインタビューでは答えてました)。
そのため、プライベートの生活が成り立たなくなり、一旦アメリカに移住しています(その後、再びプロヴァンスの別の村に戻り、亡くなるまでその村で過ごされました)。
是非、静かに町並みを楽しみながら散策してほしい村です。
オペド(Oppède-le-Vieux)
リュベロンの入り口にある半ば廃墟と化したオペド村。
正確には上町と下町があり、下町は新しい村で、上町が山の斜面に立つ石造りのすでに放棄された村です。
この村は放棄されて長く、道も石畳もあるがほとんど山道で家々も崩れた石垣だらけといった遺跡のような村跡です。
20年ぐらい前からは芸術家がこの廃墟に移り住み、独自の活動をしているようです。
山頂には城跡と教会があります。教会は現在も使用されているようです。
ここ10年ぐらい訪れていませんが、観光用に少し手が入っているようです。駐車場も昔は路駐のみでしたが、10年前でも大きな有料駐車場があり驚いたことを覚えています。
リュベロン山脈の南側(Update)
リュベロン地方の村々は東西に大きくそびえるリュベロン山脈により南北に分断されています。
現在でも山脈を抜けて南北を行き来できる自動車ルートはほんのわずか。
そのためか、同じリュベロン自然公園に含まれるエリアであってもやや異なる雰囲気すらあります。
ここからはリュベロン山脈の南側にある村々を紹介していきます。
ルールマラン
リュベロン山脈の南側にでは(おそらく)最も有名であか抜けた村。
『フランスの最も美しい村』にも選ばれている美しい、そして今もプロヴァンスらしさを保っている村です。
故ピーター・メイル氏が晩年を過ごした村としても知られています。
キュキュロン
かつての城塞や城壁が今も残る歴史ある村。
あまり観光化の波を受けていないようで城壁内の村の中は比較的静かで、お土産物屋や観光客向けのレストランやカフェも控えめ。
城壁の外にある村の池(Bassin de l'étang)はプラタナスの木が立ちならぶ村で一番人が集まるところ。
アンスウィ
サブラン家の城塞とともにある歴史ある村。
『フランスの最も美しい村』にも選出されていますが、同時に静けさもある穏やかなところ。
村は、サブラン家の城塞を頂に持つ丘の南側に、プロバンス名物のミストラル(強烈な北風)を避けるように広がっている。
最後に
プロヴァンスを初めて訪れたのは1998年の夏、それから20年以上、ほぼ毎年欠かさず訪れています。その当時でも、すでにピーターメイル氏が書いていた田舎らしさは無くなっていましたが、ここ20年での変化はそれ以上かもしれません。
それでも、毎年訪れてしまうだけの魅力がまだまだあります。
次回も引き続きテーマを絞ってプロヴァンスの魅力を紹介していきたいと思います。
2021年夏のプロヴァンス旅行をまとめた『2021年、猛暑のプロヴァンス』シリーズ
2020年夏のプロヴァンス旅行をまとめた『2020年、真夏のプロヴァンス』シリーズ
過去のプロヴァンスの旅をテーマや地域ごとにまとめた『南仏プロヴァンス』シリーズ
2019年春のプロヴァンス旅行をまとめた『南仏プロヴァンスの風景』シリーズ