さて今回ご紹介するのはワイン購入目的で訪れたヴァンソーブル村(Vinsobres)です。村自体はこじんまりしており、特別魅力的な観光スポットがあるというわけではないので、ワイン購入という目的がなければ立ち寄ることはなかったでしょう。
そんな村ですが、周りの畑からとれるブドウで造られる赤ワインは南ローヌワインの中でも、とても優秀なワインとして高く評価されています。
それでは、今回はワインではなく、村のほうを紹介していきます!
ヴァンソーブル村はどこ?
さて、ワイン好きでもなければこの村の名前を知っている方は皆無でしょう。しかし、ローヌワイン好きにとっては、現在9か所あるクリュ・デュ・コート・デュ・ローヌ(Cru des Côtes du Rhône)の一つ、AOC Vinsobresを産出す銘醸地です。
南ローヌ地方のほぼ最北端に位置するこの村は、プロヴァンス地方に点在する南ローヌワインの銘醸地の中でもやや標高が高く、街道94号線の北側、日当たりのよい丘にブドウ畑が広がるエリアです。
旅の起点によく登場するアヴィニョン(Avignin)からだと車で1時間程度の移動となります。途中、これまた銘醸地のヴァケイラス、ジゴンダスやラストーなどをわき見しながら向かいます。
かつては隣町のニヨン(Nyons、オリーブで有名)同様にオリーブの栽培が盛んだったようですが、冬の寒さの影響で全滅してしまい、現在はワイン用のブドウに専念しているそうです。
ヴァンソーブル村の散策
さて、村を散策するにあたり、本来の目的地である最初のワイナリーで試飲をした際に手に入れた村の地図を活用させてもらい、地図上の案内に沿って歩いてみます。以前にも書いたかもしれませんが、このあたりのワイナリーは試飲といってもそれなりの量を(いろんな種類)注いでくれるので、全部飲んでいると1軒目で酔いが回ります。どのワイナリーも試飲用のワインを捨てる容器を出してくれるので、全部飲む必要はないのですが、美味しいとついつい。それと、捨てるのは作り手さんに申し訳ないような気がしちゃうんですよね。
幸い、一軒目のワイナリーのそばに駐車場を確保できたので、スタート地点のツーリストインフォ前から歩き出します。村は小高い丘の上にあり、緩やかに上りながら村の最上部にある教会を目指します。
天気も良く、ドイツでは聞くことのできない蝉の鳴き声が響き渡っています。
まずは教会広場に到着(ここは下の教会)。教会は閉まっており入れず。観光用ではないので(あるいはコロナウイルスの影響か)、ミサの時間以外閉まっているのかもしれません。
ここにはこの村唯一⁈のレストランがありました。店の向かいの教会の壁を利用したテラス席もあります(涼しそう)。
その先には、本来の村の入り口⁈と思われる市門が登場。村のサイズに関係なく、このような建物はどこに行っても立派!
ここからは昔ながらの石畳の路地を進んでいきます。
小さい村なのであっという間に高台に出てしまいました。ここのテラスからは村の西側に広がるブドウ畑が一望できました。
聞こえてくるのは蝉の鳴き声ばかりで、ほとんど住人らしい人を見かけません(まあ、この暑い中、わざわざ出歩くのは観光客ぐらいですかね)。
このテラスから石積みの階段を上ると、村最上部の教会に出ました。こちらも入り口は固く閉ざされており入ることはできませんでした。
ここまで上ると南側の風景も楽しめます。逆光なのでかなり眩しいですが。
さらに進むと最上部の後方に村の歴史に関する説明板とかつての城塞跡(館跡)と思しき石垣などが残っていました。
また、古い村らしくかつての水場なども残っていました。このような水場はプロヴァンスの村を回っているとたいていどこの村にも残っています。
ということで、今回の村の紹介、これで終わりです。
がっかりかもしれませんが、観光で有名な村でもない限り、大体こんな感じなんです。
でも、村中の道路標識はタイル作りでなかなか趣があり、見ていて楽しかったです。
まとめ
今回は、ワインの試飲で立ち寄った村を紹介しました。
ワインに興味ない方は、名前を知る機会もない村だと思います。
夏の暑い日、蝉の声だけの小さい村を歩くのは、それでもプロヴァンス大好きな我々にとってはとても気持ちのいい散策でした。おまけにしっかり水を飲みながら歩いていたので、たんまり飲んだワインもだいぶ抜けて、次のワイナリーへ向かう準備もできました。
過去のプロヴァンスの旅をテーマや地域ごとにまとめた『南仏プロヴァンス』シリーズ
2019年春のプロヴァンス旅行をまとめた『南仏プロヴァンスの風景』シリーズ