プロヴァンスの代表的な美しい村々が点在するリュベロン地方。
その中でリュベロン山脈の南側は北側に比べるとまだ観光地化が進んでいないといえるでしょう。
そんな村の中から今回はアンスウィ村(Ansouis)を紹介します。
これまた『フランスの最も美しい村』に選出されています。
アンスウィ村の位置とアクセス方法
アンスウィ(Ansouis)はアヴィニョン(Avignon)から南東に80Km、エクサン・プロヴァンスから北に30Km、リュベロン地方に東西に延びるリュベロン山脈の南側に位置します。
ルールマラン(Lourmarin)からはわずか10Km程度、車で15分の隣村となります。
村へのアクセスですが、車が利用できない場合、リュベロン地方の入り口に位置するカヴァイヨンという町からバスが出ています。8番のバスです。
https://ansouis.fr/wp-content/uploads/2022/01/ZOU84-Ligne8-CAVAILLON-CADENET-PERTUIS-CUCURON-1.pdf
このバス、キュキュロン(Cucuron)への行き方でも紹介したバスと同じです。
アンスウィ村の歴史
村の歴史は旧石器時代にまでさかのぼることができますが、1178年から始まるサブラン家による統治によって本格的に歴史の舞台に上がります。
丘の上にあるお城にはなんと2008年までサブラン家の子孫が住んでいたそうです。
城下に広がる村はプロヴァンスに吹き荒れるミストラルを避けるように丘の南側に集中しており、現在もはっきりとその様子が見て取れます。
また14世紀には今も残る城壁がお城を四角く取り囲んでいました。
この村も他の村々同様に人口流出のため、一時期は500人程度まで人口が減ってしまったようですが、20世紀以降のインフラの整備などもあり、現在は1000人を超えているそうです。
おもな産業としては18世紀以降、果物栽培(サクランボ、プラム、メロンなど)などが有名です。
アンスウィ村の散策
この村もゆっくり歩いても1時間もかからない小さい村です。ここでも町外れの駐車場に車を止めて歩き始めることにしました。
さて、お城を頂点に小高い丘の上に村ができているため、駐車場からだと少し見あげるような感じで村を見ることになります。
村へは駐車場から階段で一気に上がります。
そこはまだ車も入れるプラターヌ通り(Boulevard des Platanes)、この通りを進み、まずはサン・テルゼアール広場(Place Saint Elzear)を目指します。
この広場、現在は村の小さい駐車場となっており、広場の周りに村役場、郵便局、ケーキ屋、スーパーなどがあります。
ここからは数本しかない道を進み丘の上のお城を目指すだけなので、ルートとか気にせず歩くのがよさそうです(迷うほど道がありません💦)。
次は、このまま広場の前を通り過ぎバッス通り(Rue Basse)にあるバッス通りの泉(Fontaine rue Basse)へ向かいます。
手前のオト広場(Place des Hôtes)もいい感じの広場です(プロヴァンスの)。
この泉もいい感じなのですが、プロヴァンスはどの村に行っても泉だらけなので少々、食傷気味です。
さてここからは、少し村の奥へ進んでいきます。
まずは、小さな門(Le Petit Portail)をくぐり、かつての市壁内へ。
名前の通り人が擦れ違えるぐらいの路地に設けられた門でした。
二番目に市壁が拡張された際にあった3つの門のうち、唯一現存する門だそうです。
この道を進むと左手に鐘楼(Le Beffroi)が見えてきます。
元々は村の共同評議会の建物に、16世紀後半から17世紀前半に鐘楼が建て増しされ現在のようになったようです。
右手には、領事の館(Maison des Consuls)があります。
かつて15-16世紀には村の議会会場として使われ、また一階部分は食料などの倉庫にも使われていたようなので、商館のような役割も持っていたのかと思います。
ここからは、いったん上部に進む道を外れ西向きに進みます。
村の外れでは視界が開け、通りのわきに大きい門址の十字架(La Croix du Grand Portail)があります。
ここには、かつて大きい門がお城や教会がある丘の西側の壁に支えられる形で存在していたようですが、現在は1951年に作られたこの十字架だけが、かつての門の存在を物語っています。
それでは、村の最上部に向かいます。
次に訪れたのは、サン・マルタン教会(Église Saint-Martin)です。
正確な資料が現存しないため、建設年度ははっきりしないようですが、おそらく12世紀より前だろうといわれています。
内装は、かつて描かれた絵が部分的にですが現在も残っており、その歴史を肌で感じることができます。
この教会には、この村の発展に大きく影響を与え、後年、法王ウルバン2世により列聖されたエルゼアール・ド・サブラン伯爵(1285-1323)とその妻デルフィーヌ・ド・シニュの聖遺物が中央祭壇右手に置かれています。
教会の見学を終えたら、教会前のテラスからリュベロン山脈南側に広がる景色を一望することができます。
そして最後の目的地は、この村の一番高いところにあるアンスウィ城(Château d'Ansouis)です。
現在このお城はサブラン家から後を引き継いだ所有者が修復を進め、一般公開を行っています。
ただし公開されているのは6月から10月中旬ぐらいまでで、15時からのガイドツアーのみで見学可能です。
さらに7月、8月は事前予約要なっています。
詳しくは下記のリンクを参照:
まとめ
これで、今回のアンスウィ村の紹介は終了です。
この村も現在は人口1000人程度の村ですが、観光で歩くルートはきれいに整備されており、名所案内板などを見ても観光に力を入れているように思います。
ある意味、どこにでもあるプロヴァンスの村ですが、一つ一つその歴史を調べながら歩くとまた違う楽しさが生まれます(情報が少なく、ブログにしずらい村も多いのですが💦)
名所案内の看板が全くない村だって、歩いてるだけでプロヴァンス感満載で、毎回わくわくさせられます~!
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