さて今回は、イースター休暇を利用して訪れた北フランス・ピカルディ地方の町、アミアン(Amiens)を紹介します。
この町には、なんとパリのノートルダム大聖堂をもしのぐフランスでもっと高く、大きいノートルダム大聖堂(アミアン大聖堂ともいわれる)があります。
また町の北側には運河を巡らせた古いエリアもあり、情緒豊かな味わいのある街並みを散策できます。
アミアンについて
アミアンは、北フランスにある人口14万人程度の中規模都市であり、その名前は、フランス最大と言われるノートルダム大聖堂や北の小ヴェネツィアと言われるサン・ルー地区で知られています。
また町の中には大西洋へ流れ込むソンム川が流れている。
歴史的にはローマ帝国時代まで遡れるようであるが、近年では2つの世界大戦の被害を大きく受けた地域でもある。
そのため、アミアンの郊外には大戦に参加した多くの国々の戦没者記念碑や墓標などが街道沿いに存在する。
ノートルダム大聖堂見学
ノートルダム大聖堂(アミアン大聖堂)はこの町で最も有名な建物で、1981 年にユネスコ世界遺産に登録されました。
このゴシック様式の大聖堂は、フランスで最も高く(尖塔の高さは112.7メートル)、室内空間も最大規模で約200,000立方メートルに及びます。
また、身廊の穹窿の高さも42.30メートルあり、こちらもフランスで最も高いものです。
残念ながら2度の火災により大聖堂の建築に関する資料があまり残っていようですが、1220年代に建築が始まったようで、現在の姿になったのは18世紀ごろとの事です。
祭壇に様々な色彩を落とす壮大なステンドグラスや大聖堂正面のバラ窓、外壁に施された綿密な彫刻など見どころが詰まっています。
またゴシック建築の移り変わり時期の代表的な教会としても紹介されることがあります。
内部の見学はもちろん無料なので、日中であればいつでも入ることができます。
まずは、西正面の中央扉口には最後の審判のキリストがいます。
右側扉口は聖母戴冠、左側扉口はアミアン最初の司教であった聖フィルマンに捧げられています。
内部に入ると、ゴシック建築ならではの高さのある身廊とその壁にある窓から差し込む陽の光の明るさが、教会内部を明るく照らし出しています。
内陣を囲む壁には、様々の彫刻が施されており、一つ一つ丁寧で繊細な装飾を見ることができます。
内陣の後ろの周歩廊にある各放射状祭室は高窓全体がステンドグラスで飾られており、その様子は圧巻です。
すでに記しましたが教会内部の見学は無料ですが、有料で教会内部ツアー、教会宝物庫見学ツアーまたはバラ窓見学ツアーが行われています。
ともにネット上で事前予約も可能ですが、混んでいなければ、当日でも教会脇のショップ内で申し込みができます。
我々が参加したバラ窓見学ツアーは教会の塔の螺旋階段を上り、バラ窓前のテラスへ登るツアーでした(とは言え、説明はあまりなく説明文(日本語もアリ)を渡され、テラスに出たらそこから真後ろのバラ窓を見たり眼下の風景を楽しむだけ)。
参加料は、一人5.5ユーロでした(2024年3月)。
バラ窓前のテラスまでの螺旋階段は、このような塔に上ったことがある方ならお分かりの様に細く狭い石の螺旋階段を果てしなく登っていきます(写真を撮る余裕もない)。
テラスに到着するとアミアンの街並みが一望できますが、それほど大きい町でもなく、また2度の世界大戦の被害も大きく、それほど見ごたえが無いのが残念でした。
背面のバラ窓(16世紀)は迫力あるのですが、いかんせん近すぎるし大きすぎて写真にうまく収められん。
適当にバラ窓前のテラスで町の風景を楽しんだら、別の塔の螺旋階段を下りて終了となります(ツアーと言っても塔に上るための扉の鍵を開けてくれてあとは勝手にどうぞ、といったツアーです)。
そして何よりバラ窓の様にステンドグラスが使用されている装飾は内側から愛でるもので外側から見ても色彩はわかりません💦
ということで、このバラ窓見学ツアーに関しては、やや割高感だけ残りました。
大聖堂は、夏のバカンスシーズンと冬のクリスマス時期のみライトアップが行われており、その時には、大聖堂西正面のファサードにかつての色合いを再現する形でカラーのライトが充てられるそうです。
逆に言うと、それ以外のシーズンは全くライトアップされていません(真っ暗です)。
サン・ルー地区散策
ノートルダム大聖堂の北側にはソンム川が流れており、その周辺には湿地帯が多く存在します。
アミアンのこのエリアでは運河が張り巡らされており、町の中心部とは異なる街並みが楽しめます。
またサン・ルー教会を中心としたこの一帯はサン・ルー地区と呼ばれています。
特に決まったルートを歩くのではなく、行き当たりばったりで運河に架かる小さい橋を渡りながら散策を楽しみましょう。
ただし、ここは決して観光化されたエリアではなく一般の住宅街なので、散策の際は、大人数で騒いだりすることの無いように注意は必要です。
また、運河はありますが、このエリアではゴンドラのような観光船の行き来もないし、カフェやその他の商業施設もほとんどありません(いたって静かです)。
こじんまりした住宅が多く(一部は観光客ようにAirbnbなどで使われている様子)、手入れの行き届いた住宅もあれば、崩れかけそうな家もあったりと、散歩には結構適しています。
運河沿いの散策を終えて再びソンム川を渡ると、目の前にそびえるように立つノートルダム大聖堂が目に入ります。
ソンム川沿いの駐車場では、土曜日の午前中には市場が立ち、生産者から直接、食品を仕入れることもできます。
我々はここで、オーティヨナージュとも呼ばれる水上庭園(湿地エリア)産のハチミツを購入しました。
ハチミツは白系統で結晶化しており、ちょっと経験したことのない味わいのです(湿地帯の花の雑蜜だと思いますが、美味しいのですが、味に関して表現が難しい)。
まとめ
アミアンはさらに、SF作家の開祖の一人ともいわれるジュール・ヴェルヌが市議会議員を長く務めた町であり、かつての自宅はジュール・ヴェルヌ記念館となっています(日本では、80日間世界一周や月世界旅行などの訳書で有名)。
彼に関連する施設を徒歩で回るコースもセットされており、パンプレット上の地図に沿って観光することで、同時に市内観光を行うこともできます(実際、これだけで十分に行くべきところが回れる)。
アミアンに関してはさらに、ソンム川沿いの湿地エリアの散策やレストラン紹介などもしていければと思います。