紀元前よりローマの進出によって属州化され、ラテン語の”属州(Provincia)”を意味する言葉が語源となった地域名です。
今日はその中からとても人気の高いローマ遺跡観光スポットをまとめていきます。
なにもプロヴァンスまで行ってローマ遺跡見なくてもって思うかもしれませんが、なかなかどうして、かなり立派な遺跡が数多く残っており、プロヴァンス観光では外せないほどの観光スポットになっています。
- オランジュ(Orange)
- ヴェゾン・ラ・ロメーヌ(Vaison-la-Romaine)
- グラヌム(Site Archéologique de Glanum)
- ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)
- ニーム(Nîmes)
- アルル(Arles)
- まとめ
オランジュ(Orange)
旧市街の中に現れる巨大な石の壁。これがオランジュの代表的ローマ遺跡である古代劇場(Théâtre Antique d'Orange)の舞台裏の壁面です。
表側はサントゥトロップの丘の斜面を利用した半円形の観客席と舞台。
正面の舞台中央にはアウグストゥス帝の彫像が今も残ります。
半円形に広がる座席はかなりの高角度でステップが刻まれた石の段でできており、最上段まで上がるとやや怖さを感じるぐらいの角度があります。
この劇場は現在も見学用のみならず、現役の野外劇場として音楽祭やオペラなどが上演されています。
見学に関する情報は下記のサイトをご参照ください。写真もいっぱいあります。
Théâtre Antique & Musée d’Orange - Site officiel - géré par Culturespaces, Orange
ちなみに私の写真は入場料をケチり、裏のサントゥトロップの丘に歩いてのぼり、丘の上の公園から撮影したものです。ちゃんと見られるんですよ!
また、旧市街からやや離れた北側には凱旋門(Arc de Triomphe)も残っています。かつてのローマ街道(アグリッパ街道)の名残ですね。
ヴェゾン・ラ・ロメーヌ(Vaison-la-Romaine)
次にご紹介するのは、オランジュのやや北東に位置するヴェゾン・ラ・ロメーヌのローマ遺跡です。
街中を流れる川で二分されており南側に中世の趣を残す旧市街、北側に現在の市街とローマ遺跡が点在しています(ヴェラス地区とピュイマン地区)。
両地区の間にちょうど観光案内所があるので、まずはそこで情報収集。
ヴェラス地区にはかつての大邸宅跡や共同浴場跡などが残されています。
また、ピュイマン地区にはメッシウス邸跡やポンペイウスの柱廊、ローマ劇場跡などもあります(規模はオランジュに比べるとかなり小さい)。
一通りローマ遺跡の観光を終えたら是非、川の南側にある旧市街を訪れ、丘に登ってみてください。北側に広がる街とローマ遺跡を一望できますよ。
グラヌム(Site Archéologique de Glanum)
次のグラヌムに関してはすでに下記の記事の中で紹介させていただきました。
アルピーユ山脈の北の谷にあるこの遺跡は、その上に現在の町がある他の遺跡とは異なり、蛮族の破壊ののち忘れ去られた町です。
ある意味、町の全貌を見ることができるとても貴重な遺跡であり、とても見ごたえがあります。私たちの一押しの遺跡です。
ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)
さてこれからご紹介するポン・デュ・ガールはガルトン川にかかるローマ時代の水道橋跡です。
三層構造からなるこの巨大な水道橋はプロヴァンスの観光写真としてかなり頻繁に目にする機会があるのではないでかと思います。
水道橋の長さは275m、高さ49mとの事です。
かつては水源からこの水道橋を利用し、さらに南に位置するニームに水を供給していました。
その距離50km! しかも水源とニームの高低差は17m!
どれだけ正確な測量を行い、水道を建設していたのか驚くばかりです。
下の写真は上部のかつては水が流されていた水路。かなり前ですが、かつてはここを自由に歩けたそうです。もうだいぶ前から柵があり侵入禁止です。
水道橋へは、それぞれ川の両サイドに駐車場があり、各々の方角からアクセスが可能です。また一層目にはあとから付け足した橋が併設されており水道橋の真横を歩くことができます。
温かい季節になると川に遊びに来ている家族連れをよく目にします。大きい岩の上から川に飛び込んでいるのをよく見ました(川の流れは穏やかです)。
観光情報に関しては下記のサイトをご確認ください。
Site management entrusted to an EPCC | Site du Pont du Gard
ニーム(Nîmes)
さて、お次はニームとなりますが、見どころが満載なので、町全体の紹介は別の機会にして今回はローマ遺跡にテーマを絞ります。
町自体も大きいですが、すぐに目につくのが古代円形闘技場(Arènes de Nîmes)です。大きさは中規模らしですが、かなり原型をとどめており現在も現役です。
もちろん映画のような剣闘士の戦いはありませんが、闘牛(南仏ではかなり一般的)やその他文化的イベントが行われているようです。
もちろん見学可能です(イベントがある日はダメなようなので注意が必要)。
Arènes de Nîmes, Maison Carrée, Tour Magne - Site officiel - gérées par Culturespaces, Nîmes
また、同じ町中にあるメゾン・カレ(Maison Carrée)も観光上、外せないポイント。
ローマ時代の神殿で、カエサルの2人の孫に捧げられたものだとか。ローマ遺跡であるながらギリシャ風コリント様式の神殿で保存状態も非常にいいです。
以前は無料でしたが、現在は入場料がいるようです。
町の中心部を離れ北側にある丘(カヴァリエの丘)を目指して歩いていくとマーニュの塔を見つけることができます(トゥ―ル・マーニュ通りをひたすら上る)。
かつての城壁の一部との事ですが、現在はきれいに整地された丘の上の緑の中に立つ塔です。ここからはニームの町を一望できるので、是非、足を向けてもらいたいところです。
またここまで登ったら、下り道を変えて少し遠回りをすると、古代集水場跡を見学することができます。
そうです。ポン・デュ・ガールから流れてきた水が、ここで分水されニームの町のそれぞれのエリアに配水されていたんです。これは見とかないと!
なんでもローマ遺跡で集水場跡が見れるのはここだけらしいです。道端にあるので歩きながら見れます。
アルル(Arles)
最後にご紹介するのがローヌ川沿いの町、アルルです。この町はいつも太陽とゴッホのイメージが浮かぶ街です。
さて、ここは町のいたるところにローマ遺跡があります。
まずすぐに目につくのが町の中心にある円形闘技場(Arènes d'Arles)です。ここはフランスにある闘技場で最大の規模を誇ります。なんでも1-2万人も収容できるとの事。
現在は闘牛やその他のイベントに利用されています。もちろん見学可能です。
そして、次は古代劇場(Théâtre antique d'Arles)の登場です。
残念ながらオランジュほどの保存状態でなく、舞台側の背面は中世に町づくりのため利用されてしまったようです。
ここも現役でいろいろなイベントが現在も行われているようです。もちろんそれ以外の時は見学が可能です。
アルルにはこれ以外にも、古代フォーラムの地下回廊(かつてのフォーラムの地下に作られた地下回廊のみが残っている)やアリスカン(ローマ墓地)などもあります。
もちろんアルルという町はこれだけではありません。是非ゆっくり時間をかけて見学してほしい町です。
ただ私たちの印象では、やや治安上不安を感じる雰囲気だった記憶があります。改善されていればいいのですが。
まとめ
さて、今回はローマ遺跡にテーマを絞って訪問したことのある遺跡を紹介しました。ここで紹介したのは比較的規模の大きな遺跡のみですが、ちょっとした橋や小型の水道橋などなど、かつての属州だけあって、意識して見ているとそこここにローマの遺跡が。ここではとても紹介しきれないので、是非、訪れた町ごとに何があるか探してみてくださいね。
『南仏プロヴァンスシリーズ』もう少し続きます。