さて今回は、私たちにとってのプロヴァンスの中心、アヴィニョン(Avignon)とその周辺の町々を紹介していこうかと思います。
歴史的背景なども意識しながら見学すると、とても興味深いエリアかと思います。
なんといっても一時期は教皇庁が置かれていたところなので。
- アヴィニョン(Avignon)は絶対に外せない
- ヴィルヌーブ・レ・ザヴィニョン(Villeneuve-lès-Avignon)も外せない
- ローヌワインの最高峰、シャトー・ヌフ・デュ・パプ(Châteauneuf-du-Pape)
- フォンテーヌ・ド・ヴォークリューズ(Fontaine-de-Vaucluse)
- 最後に
アヴィニョン(Avignon)は絶対に外せない
現在も中世の城壁に囲まれたままの町アヴィニョン。そしてかつては教皇庁が置かれていた町。今も見どころ満載のプロヴァンスを代表する町です。
パリからはTGV(フランス高速鉄道)で3-4時間でアクセスできるだけにプロヴァンスの旅のはじめや終わりにもってこいの町です。
城壁
町の回りを囲む城壁は堀こそ埋め立てられ遊歩道や道路になってはいますが、4キロ以上に渡り今も町を完全に取り囲んでいます。
観光をするにはとても魅力的ですが、車での侵入は困難を極めます。いくつかの門は一部が壊され車が通れるようになっていますが、ほとんどの門は一方通行のため、入るのも大変ですが出口を見つけるのも大変!
法王庁宮殿(Palais des Papes)
そしてアヴィニョンを訪れる人が必ずといっていいほど見学すると思われるのがこの法王庁宮殿です。
14世紀にヨハネ22世の時代にアヴィニョンに教皇庁を定め、ベネディクト12世によって建てられた宮殿北部を旧宮殿、クレメンス6世がたてた南側を新宮殿と呼びます。そもそもは14世紀初めに起こった枢機卿団の分裂で教皇庁がアヴィニョンへ遷座されてしまったことに始まります(教皇のアヴィニョン捕囚)。
教皇庁を含むこのエリアは『アヴィニョン歴史地区』として世界遺産に登録されています。
外見は要塞を兼ねたようないかめしい風貌を見せていますが、かつては教皇の住まいでもあったことから豪華絢爛だったようです。現在はあまりそれらしきものは残っておらず、その建築を見るのみといった感じです。
サン・ベネセ橋(Pont Saint Benezet)
12世紀の作られたローヌ川に架かる橋。『アヴィニョンの橋で踊るよ、踊るよ、、、』で始まる歌ですっかり有名になりました。
かつては対岸のヴィルヌーブ・レ・ザヴィニョンまで長さ900メートル以上、幅4メートル、22のアーチを持つ橋が架かっていましたが、フランス王によるアヴィニョンへの侵攻で一部破壊され、その後、幾度となく修復されましたが、洪水などで再び流され、現在の部分のみが残っています。
橋の上を歩くこともできますが有料となっています。橋の上からアヴィニョンの教皇庁を眺めるのもいいでしょうが、教皇庁の裏の崖の上の公園(次に紹介)からの眺めが非常にいいです。
ロシェ・デ・ドン公園(Rocher des Doms)
教皇庁の脇からローヌ川沿いにそびえる岩山へ進む道があります。途中、 ノートルダム大聖堂を見ながら坂道を登っていくと、ドン岸壁の上に公園があります。
子供の遊具からハーブ公園など緑の多い、そして眺めのいい公園です。
そしてここからは次に紹介するヴィルヌーブ・レ・ザヴィニョンのサンタンドレ要塞を対岸に見渡すことができます。
その他
まずは、時間の余裕があれば、ローヌ川に出てクルーズはいかがでしょうか?比較的ゆっくりと流れている川なので、両サイドに広がる城塞都市を川から眺めるのもいいかと思います。
また、時間が無い時には、下の写真のように教皇庁前の広場から観光用の市内観光汽車が出ています。これで見るべきところは大体一周できますよ。
もちろん時間があればゆっくりと市内を歩いてみてください。いろいろな風景に出会えることと思います。
これ以外にもプティ・パレ美術館(中世の枢機卿の館を利用した美術館)、カルヴェ美術館、ラビデール博物館(考古学博物館)、アングラドン美術館(印象派やエコール・ド・パリ時代の絵画など)など美術館や博物館も多くあります。
また、町の中では様々な市が開かれていますが、屋内市場である中央市場(Les Halles)は是非足を運んでいただきたいところ。プロヴァンスの人々の食に対する並々ならぬ思い入れがわかると思います。ピーター・メイル氏の著書でも紹介されています。
最後に、アヴィニョンほどの町になるとここを出発点としたツアーが多く用意されています。観光案内所などで聞くと、車がなくてもプロヴァンスの小さな村々や渓谷などなどをタイムロス無く観光できる、ご希望に合ったツアーが見つかると思います。
ヴィルヌーブ・レ・ザヴィニョン(Villeneuve-lès-Avignon)も外せない
ローヌ川を挟んでアヴィニョンの対岸にある街がヴィルヌーブ・レ・ザヴィニョンです。移動はアヴィニョンからバスで20分程度です。
中世にはアヴィニョン=教皇領だったのに対し、ここはフランス領となっており、ローヌ川を挟んで時のフランス王と教皇によるにらみ合いが続いていました。
そのため、サンタンドレ要塞のようないかめしい作りの軍事施設が今も残り、観光名所になっています。
旧市街はこじんまりしており、ゆっくりと過ごしたい方にとってはアヴィニョンではなくこちらヴィルヌーブ・レ・ザヴィニョンに宿をとるのも一考かと思います。
石畳の道と石造りの重々しい町並みは昼間だけでなく夜も素晴らしい景色を見せてくれます。5☆ホテルや☆付きレストランもあり、大人がゆっくりと過ごす穴場的観光地ですね。
旧市街にはさらに、ノートルダム参議会教会(Eglise Collégiale Notre-Dame)やピエール・ド・リュクサンブール美術館などもあるので、時間があればぜひ見学してください。ノートルダム参議会教会は14世紀ゴシックの代表例(南仏式)で回廊を有する建築物です。またピエール・ド・リュクサンブール美術館は元枢機卿の館を改装修復した美術館です。
サンタンドレ要塞
14世紀に対岸のアヴィニョンの教皇に対しフランス王の権威を示すため、威嚇のために作られた堅固な要塞です。
城壁の厚さや門構えの威圧感は圧倒的で、是非一度は訪れてほしい名所です。場内は有料で見学可能です。
中に入るとかつての城内の建物跡の見学(小さい村が入りそうな広さ)や城壁に上り、対岸のアヴィニョンを眺めることもできます。
祝福の谷の修道院
またこの町には法王インノケンティウス6世によって建てられた修道院が修復され見学可能となっています。礼拝堂のフレスコ画が有名。
La Chartreuse | Villeneuve lez Avignon | Centre national des écritures du spectacle
ローヌワインの最高峰、シャトー・ヌフ・デュ・パプ(Châteauneuf-du-Pape)
ローヌワインを代表するワイン産地として有名なシャトー・ヌフ・デュ・パプ。
ローヌ川に沿って北側にオランジュ(Orange)、南側にアヴィニョン(Avignon)にという大きい町に挟まれたのどかなワイン畑の中の丘に村があります。
村の中や郊外にはワイン醸造者であるドメーヌやシャトーがいくつもありますが、村自体はとても小さくローヌ川沿いの丘の上の古城の廃墟が目印になります。
今回はワインではなく村の紹介となりますので悪しからず(ローヌワインに関しては別記事で準備しています)。
それほど込み合うこともない小さい村なので、駐車場に車を止めたら歩いて村の中と丘の上の古城の廃墟に行ってみましょう。村の中心部からは、写真のように村役場(Hotel de Ville)の時計台が見えます。
町の中やその周りのエリアにはワインの試飲ができるお店がいくつもあるので、時間があれば試飲してみるのもいいかと思います。
この町へは、アヴィニョンからバスも出ているようですが、本数は期待できないと思うので事前チェックが必要です。
村の中心から丘へ続く緩やかな坂道を登っていくと古城の廃墟にたどり着きます。丘の上からの眺めは良く四方を見渡すことができ、周りに広がるブドウ畑(ワイン畑)を楽しむことができます。
また北東に目を向けると左手にローヌワインの名醸地ジゴンダスを有するモンミライユ山脈(Les Dentelles de Montmirail)、右手にプロヴァンスの名峰モン・ヴァントゥー(Mont Ventoux)を仰ぎ見ることができます。
町の歴史はとても興味深く、アヴィニョンに教皇庁が置かれていたときに、教皇の別荘として築かれ、ヨハネ22世により”教皇庁の財テク”としてワイン造りが行われました(町の名前はまさに”教皇の新しい館”そのまま)。またアヴィニョンと並ぶ教皇庁の要塞が築かれていました。共にローヌ川東側の守りを固めるための城砦です。
朝市も週に一回開かれていますが、季節外れに行くとあまりにもこじんまりしており観光目的ではお勧めできません(1-2店舗だけだったこともあります)。
フォンテーヌ・ド・ヴォークリューズ(Fontaine-de-Vaucluse)
アヴィニョンから東に向かいリュベロンの村々へ向かう一歩手前にあるこのフォンテーヌ・ド・ヴォークリューズはヴォークリューズ山系の渓谷と森林に囲まれた小さい村。
渓谷を遠くに見ながらその谷へ近づいていくと大きくえぐられたような岩肌を見せる岸壁が見えてきます。そこにはいくつもの洞窟のような穴の開いた不思議な岩肌。
流れの速い青々した川に沿って進むと大きな駐車場があり、車での侵入はそこまで。そこから先はお土産屋やレストランがならぶ村を通りぬけ、川沿い作られた遊歩道を進みます。
ここまでくると真夏でも涼しいくらい。ちょっと上着が欲しくなるぐらいの気温の変化があります。水面下には、水草が一面に生えています。
遊歩道の途中には、この渓谷に関する展示と水車を見ることができます。
さらに進むと、渓谷の行き止まりに大きな穴のような洞窟が出現しその穴の奥に泉を見つけられます。この泉、世界的にも豊富な水量を誇っているそうです。
とても深い青々したこの泉からは湧き出た水がこれまでたどってきた川(ソルグ川)の源流です(ソルグ川は朝市で紹介したリル・シュル・ラ・ソルグの町を流れる川です)。
最後に
今回はアヴィニョンとその近郊の観光名所を中心にまとめてみました。このシリーズは毎年4月に訪れているプロヴァンスへ行けなかった代わりに、これまでの訪問地を少しずつまとめて整理してみようと始めました。
いざ書き始めると、エリアごとにまとめるのは思いのほか難しく、いろいろと零れてしまった町や観光地が次々と出てきます。
どこかで一回、プロヴァンス・紹介しきれなかった場所みたいなものを書くかもしれません。
もう少しこのシリーズ続くので、是非お付き合いください。