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南仏プロヴァンス・おすすめ南ローヌワイン特集!

さて、今回は『バリューローヌ』とまで言われるコストパフォーマンスの高いフランスのローヌワインについてまとめてみました。

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ローヌワインは南ローヌと北ローヌに地域が分かれていますが、私たちはコスト重視でデイリーワインを探しているので南ローヌに特化して訪問を繰り返しています。

そのようなわけで、お話しようにも北ローヌは語りようが無いので、南ローヌのお話をしていきますね。

地理的なお話

ローヌワインローヌ川に沿ってリヨン南部からアルルまでの約250キロの渡るエリアで産するワインを指します。

大きく分けて北部のワインを北ローヌワイン南部のワインを南ローヌワインと呼びますが、北部はローヌ川に沿った急峻な谷を利用してブドウ栽培がおこなわれています。フランス高速道路A7(別名:太陽の道)はローヌ川に沿って敷設されているため、プロヴァンスに向かっ走っていると、リヨンを過ぎたあたりから切り立ったローヌ川渓谷に作られたブドウ畑が姿を現します。

モンテリマール(Montélimar)を過ぎたあたりから景色が変わり始め、「ああプロヴァンスに来たんだ!」という実感が湧いてきます。そしてこのあたりからアルル(Arles)までの広大なエリアが南ローヌワインの産地となります。

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南ローヌワインの特徴

赤ワインは、北ローヌワインシラー(シラーズ)単一品種による長期熟成型を得意としているのに対し、南ローヌでは、グルナッシュを中心にシラー、ムールヴェードル、カリニャン、サンソーなどをブレンドして作られる赤ワインが中心となります。

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メインとなるグルナッシュはブラックチョコやベリーなどの果実の香りたくましく、色あいも濃い赤をしており、ライトなのにしっかりとした濃い味を持っています。ただし長期熟成型ではないため、南ローヌワインは比較的早飲みに適しています

ただ長期熟成型のシラーの比率を増やすことで深い味わいで長期熟成にも耐えられるワインも生産されています。赤ワインは常温で、特に夏場にそのまま飲むとより南ローヌらしい深い味わいを楽しめます。もちろん南仏料理と相性バッチリなので、是非合わせて飲んでみてほしいのはもちろん、家庭で作る鶏の照り焼きやポークチャップなどとも相性が良いので、家庭で飲むデイリーワインとしておススメです。

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白ワインヴィオニエ、グルナッシュ・プラン種などを中心に生産されています。ヴィオニエは桃のようなさわやかな甘い香りが特徴ですが、飲み口は決して甘口ではなくきりっとしたさわやかな飲み口です。

フランスワインのカテゴリー

フランスのワインも地域によって格付けの仕方や製造方法などに違いがあり、いろいろと複雑な構成になっています。ただしその製造方法を含めきちんとワイン法が存在するため、消費者にとっては安心感がありますね(日本も2018年からワイン法が導入されましたが、ベースに酒税法があるところがよくわかりません)。

Vins de Table(ヴァン・ドゥ・ターブル)

いわゆるテーブルワインといわれる原産地指定のないワインです。したがってフランス以外のワインもブレンドされています。そのため値段は安いですが、個性に欠けるワインとなります。

Vins de Pays(ヴァン・ドゥ・ペイ)

生産地が限定され、ブドウの種類等も法規制が入る、いわゆる地酒ですね。このクラスになるとそのエリアのブドウだけで作られたワインもあり、しっかりと地域の個性があるワインもあります。ローヌワインでも協同組合などで売られているワインによく見られます。数リッター入ったパックや量り売りなどでも売られています。

食事に合わせて飲むならかえって高級ワインより気楽に飲めて楽しめます。

休暇でプロヴァンスを訪れるなら是非リッター買いして、昼から飲んだくれて下さい。

AOC(Appellation d´Origine Controlee、アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ)

日本語では”原産地呼称統制ワイン”などと訳されるフランスで1935年に制定された法律に基づく格付け高級ワインです(この下にVDQSというクラスもありますが、ローヌワインでは見かけないので省きます)。
AOCの中には、そのエリア(例えばローヌ地区)だけを示すものもあれば、村の名前などを冠する高級ワインもあります。ブルゴーニュなどではさらに畑の名前まで入る高級ワイン(ロマネ・コンティなど)がありますが、ローヌでは村名が最高位となります。

 AOCについて AOCではそれぞれのエリアや村の名前を記すにあたり、ブドウの生産地、利用できるブドウ、アルコール度数、ブドウの収穫量、栽培方法、剪定方法、醸造方法、熟成方法、試飲検査などの条件をクリアする必要があります。

南ローヌワインのカテゴリーと産地

うまくまとめられるか不安ですが、南ローヌワインのAOCクラスの中でのカテゴリーをさらに深堀します。

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Appellations | Vins Rhône

コート・デュ・ローヌ(Côtes du Rhône)

AOC認定の高級ワインの中ですが、地域や村名を名乗ることができないワインです。ちょうど上の地図では、薄い緑色のエリアがコート・デュ・ローヌの生産地です。

かなり広い範囲となり、地形や標高、地質なども様々なため、ワインの個性も様々で正直当たりはずれもかなりあります。もちろん探せばかなりいいワインを見つけられます。私たちが普段の飲みように買うワインのほとんどがこのクラスに属します。

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日本では、E.ギガル社のワインが有名ですね。

コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ(Côtes du Rhône Villages)

ヴィラージュ(村)という名前が追加されていることからも理解していただけることと思いますが、より限定された地区や村で生産されたワインとなり、一つ上のカテゴリーとして認識されます。地図内の赤い小さい点で示されている村やエリアが該当します(現在22の地区と村が指定されています)。

私たちが一番利用しているのは、Signarguesという南にある地区(ここは村名でなく地区名)ですが、それ以外にも、VisanValréasSéguretSabletなどはとても有名です。

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クリュ・デ・コート・デュ・ローヌ(Crus des Côtes du Rhône)

ローヌワイン最高峰のカテゴリーとなり、現在南ローヌには9か所のクリュがあります。特に有名なのが、シャトー・ヌフ・デュ・パプ(Châteauneuf-du-Pape)です。

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ワイン漫画『神の雫』11巻に第3の使徒として登場するドメーヌ・デュ・ペゴー(Domaine du Pegau)はまさにこのエリアの作り手です。

PEGAU - Domaine & Château

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さらに、ジゴンダスGigondas)がそれに続きます。

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ここには『神の雫』4巻に登場するシャトー・ド・サン・コム(Chateau de Saint Cosme)があります。

Chateau de Saint Cosme > Gigondas

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さらにヴァケイラス(Vacqueyras)ランヌ(Cairanne)ラストー(Rasteau)などの銘醸地がモンミライユ山系(Les Dentelles de Montmirail)に沿って広がります。

ここでは特にケランヌドメーヌ・ブリュセ(Domaine Brusset)が作り手として有名です。

Le domaine - Domaine Brusset

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またシャトー・ヌフ・デ・パプを挟んで南側にはリラック(Lirac)タヴェル(Tavel)といった銘醸地があります。特にタヴェルはロゼワインの銘醸地として有名です。

デイリーワインの楽しさ

私たちにとってこの南ローヌワインは毎日の食事の友として、かなり長い付き合いにななりました。なかなかお気に入りを見つけるのは大変なのですが、フランスの出版社Hachette社の発行するワインガイド『Le guide Hachette des Vins』を毎年購入し、その中で紹介されているワインで高評価でコストパフォーマンスもよい作り手のところに出向き試飲をして購入することが多いです。

毎年決まって訪問する作り手も数件あり、その年年の出来具合を試飲するのが楽しみです。

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デイリーワインということで、5-10ユーロ(600-1200円ぐらい)のコート・デュ・ローヌコート・デュ・ローヌ ヴィラージュを中心に、ちょっと上の価格帯のクリュ・デ・コート・デュ・ローヌを適宜取り混ぜる感じで購入しています。

南ローヌワイン、特にコート・デュ・ローヌコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュはとても夏向きのワイン(だと我々は思っている)なので、春から夏にかけて飲む赤ワインは、ほぼ南ローヌワインとなっています。

まとめ

早いもので、南ローヌワインを買い始めてかれこれ20年になります。その間、格上げ(?)で新たな村名ワインができたり、カテゴリーが繰り上がり値段が上がってしまった銘醸地(ケランヌやラストー)があったり、作り手の世代交代があったりなど、様々な変化を見てきました。

何年経っても、凝縮した果実味とスパイシーさを持つコクのあるパワフルな南ローヌワインの魅力は尽きません。南ローヌの共通する特徴を持ちながらも、品種の選び方やブレンド比率などの違いで多種多様な個性を楽しめるのも南ローヌワインの面白さだと思います。

これからも我が家にとっては大切な食事の友であり続けることでしょう。

今回はちょっと通り一遍な南ローヌワイン紹介になってしまいましたが、機会があれば、もうちょっと踏み込んだ紹介もしていきたいと思っています。

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