フランス・アルザス地方を南北に抜けるアルザス・ワイン街道(La Route des Vins d'Alsace)。
今回はワイン街道から少し谷に入った町にあるワイナリーを紹介していきます。
ワイナリーのロケーション
今回ご紹介するワイナリー Jean Paul ECKLÈ & Fils は『ジャムの妖精 クリスティーヌ・フェルベール』のお店のあるニーダーモルシュヴィア(Niedermorschwihr)の隣の谷、カッツェンタール(Katzenthal)にあります。
カッツェンタールとはまさに、ほぼドイツ語そのままで、『猫の谷』って直訳できます!
『猫の谷』なんて名前の町だと猫好きの方からするとかなり惹かれますよね!
この町はアルザス観光のもう一つの拠点、コルマールからも10キロ未満で車なら15分程度でアクセスができます。
今回はちょっとだけ町の散歩の風景も交えながらワイナリーを紹介していきます。
カッツェンタールを訪れるきっかけ
今回、街道から少し奥まった谷にある町を訪問しようとしたきっかけは、実は漫画『神の雫』35巻で紹介されていたクレマン・クリュールのクレマン・ダルザス ・ブリュット・キュヴェ・マネキネコという黒猫のラベルのスパークリングに興味を持ったからでした(この町で作られている)。
こちらのスパークリングは現在、他のカラーラベルも含め、日本でも簡単に入手できるようです。
とはいえ、それだけでは購入の根拠にはならないため、毎度利用しているフランスのワインガイド『Le Guide Hachette des vins』で調べていたところ、同じ町中の今回のワイナリーの評価が非常に良いことから訪問することにしました。
クレマン・ダルザス(CREMANT D’ALSACE)とはシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵により作られるアルザス地方のクレマン(スパークリング)でAOC認定も受けています。
そうなんです。今回はもちろんアルザスの白ワインの購入も予定していましたが、何よりクレマン・ダルザスの購入を優先してワイナリーを検討していました。
カッツェンタールを歩く
さて町役場前の駐車スペースに車を止めて少し歩いてみることにしました。この時点では我々はカッツェンタール(猫の谷)の名前の由来を全く知りませんでした。
当然ですが、”猫”に関係するお話でもあるのかと期待もあり、ぶらぶらと歩き始めました。廻りをブドウ畑に囲まれた小さい町にはワイナリーが幾つもありますが、まず気になったのは道路!
一般住宅とワイナリーが並ぶ裏通りには、猫の絵や足跡マークが次々と現れます。
しかし、いくら歩いても猫一匹現れません!(人もほとんど見かけない)
結局ぐるっと回って気になったのは、ブドウ畑の先に見える、城址ぐらい。
行ってみようかと思いましたが、あまり天候が良くなかったので、この日は何の成果もなく(猫一匹見つけられず)、退散しました。
ワイナリー訪問
さて、改めて別の日に今回、目星をつけたワイナリー・Jean Paul ECKLÈ & Fils を午前10時ごろから訪問しました。
こちらのワイナリーですが、歴史は古く、1870年から家族経営でワイン作りを行っています。
訪問時間が早かったせいか、先客は無く、すぐに顧客担当の娘さんが対応してくれました。英語はなんとかOKだけどドイツ語はダメ!との事(後でお母さんに聞いたところではドイツ語も大体は理解できるらしい)。
とりあえず、英語で説明を受けながら、我々の希望であるクレマン・ダルザス(アルザスのスパークリング)から試飲を開始しました。
まずは、今回『Le Guide Hachette des vins』で紹介されている白のBrut(Brut:糖分添加量の少ない辛口のスパークリング)とBrut Rose(ロゼのスパークリング)から新スタート!
ロゼも悪くないのですが、白のBrutの出来が、評判通りかなり良い!泡立ちもきれいで、香りは華やかで、飛び切りの切れ味!余韻もさわやかで、正直、驚いたレベルでした。使用されているブドウは、リースリング、ピノ・オーセロワ、シャルドネで房ごとに選択して使用しています。値段の方も7.75ユーロとかなり割安でした。
そこからは、白ワインを片っ端から飲ませてもらい(グランクリュも含めて)、4種類の購入を決定(ピノ・ブラン、ピノ・グリ、リースリング、リースリング・グランクリュ)。
特にリースリングのグランクリュは町から見える城址のそばの畑(Wineck Schlossberg)との事、日照条件の良い畑であるが、斜面のため機械の導入ができず、すべて手作業で畑仕事をしているそうです(それでも値段は10.15ユーロ)。
さらに赤ワイン(ピノ・ノアール)も2種類ほど試飲して購入。
最終的には7種類、21本ほど購入しました(試飲数は確実に10種類以上です)。
さて、気になるカッツェンタール(猫の谷)の名前の由来ですが、倉庫で箱詰めをしてもらっている最中にワイナリーのお母さんに聞いてみたのですが(ドイツ語が通じるので)、どうも”猫”は関係ないようです。昔々、カッツェン(ドイツ語で猫)がつく名前の領主がいて、そこから町の名前が来ているのではとの事でした(後でネットで調べたところ、由来に関する情報は見つけられず)。そんな言い伝えがあるみたいです。
いずれにしても、皆さんこの町の名前をラベルに有効活用しています!
さいごに
アルザスもプロヴァンス同様に、ブルゴーニュやボルドーとは異なり、比較的安価で飲みやすいワインが購入できます。また日々の食事とともに飲みやすいという意味でもお手頃なワインが揃っています。
また、試飲をお願いすると、容赦なくグラスにワインが注がれます。試飲なので残して捨ててもいいんですが、これが美味しいわけでついつい飲み干してしまう(途中からはもはや試飲でないような気もするが)。
でも、ワイナリーの方々も、スッポンスッポンと新しいワインを開けてくれるのでついつい飲み干してしまいます。
一件当たり10種類前後、試飲をするので、一日に数件回るのが限界!
さて、今回ご紹介し Jean Paul ECKLÈ & Fils ですが残念ながら日本では取り扱いが無いかと思います。ぜひ旅の途中に寄ってみてください。
『アルザスワイン街道を行く』シリーズは今後も続きます。紹介したい小さい村々やワインナリーなど、これからも案内していきます。