ギリシャ旅行といえば、アテネの古代遺跡やエーゲ海の島々が定番ですが、ギリシャ第3の都市と聞かれて答えられる方は少ないと思います。今回は、そんなペロポネソス半島の北端に位置する港湾都市パトラ(Patra)を紹介していきます。
イタリアへ向かうフェリーが絶え間なく行き交い、「西への門」として栄えるこの街は、学生街らしい活力と、様々な時代の遺跡が混在しており魅力的です。

パトラの一般的な紹介:多様な顔を持つ「西の玄関口」
すでに記したようにパトラは、アテネ、テッサロニキに次ぐギリシャ第3の都市です。ペロポネソス半島の北西部に位置し、パトラ湾に面したこの街は、古くから物流と交通の要所として発展してきました。
商業と港の拠点
街の心臓部は、海岸線に沿って広がる広大な港です。
ここからはイタリアのアンコーナやバーリ、ヴェネツィアへと向かう大型フェリーが発着しており、ヨーロッパ大陸とギリシャを繋ぐ物流の動脈となっています。
そのため、街には国際的な雰囲気が漂っていますね。

街の構造:上部市街と下部市街
パトラは大きく2つのエリアに分かれています。
- カト・ポリ(下部市街): 港に面した平地。碁盤の目状に整理された通りに、ショップやカフェ、官公庁が並ぶ現代的な中心地です。
- アノ・ポリ(上部市街): 山側に位置する旧市街。細い路地、石畳、古い民家が残り、城跡へと続く情緒あふれるエリアです。
パトラの歴史:神話から近現代まで
パトラの歴史は4,000年以上前に遡ります。
その名は、アカイア人の指導者であった神話上の人物「パトレアス」に由来すると言われています。
古代からローマ時代:繁栄の頂点
古代ギリシャ時代、パトラはアカイア同盟の一員として重要な役割を果たしました。
しかし、街が真の黄金時代を迎えたのは、紀元前31年にローマ皇帝アウグストゥスによってローマ植民都市となってからです。
ローマ人はパトラを軍事的・商業的な拠点として整備しました。
現在も街に残るオデオン(音楽堂)などは、この時代の繁栄の名残です。

また、キリスト教の歴史においてもとても重要で、12使徒の一人である聖アンデレ(アンドリュー)がこの地で殉教したと伝えられています。
中世とオスマン帝国時代
ローマ帝国崩壊後、パトラはビザンチン帝国、ヴェネツィア共和国、そしてオスマン帝国の支配下に入ります。
特にヴェネツィア時代には、防衛のための城塞(パトラ城)が強化されました。

1821年、ギリシャ独立戦争において、パトラ近郊のアギア・ラヴラ修道院で独立の狼煙が上がり、パトラ自体も、独立に向けて最初の一歩を踏み出した都市の一つとして、ギリシャ近代史に深く刻まれています。
近現代:産業と文化の発展
19世紀後半、パトラは「干しぶどう(カラント)」の輸出拠点として莫大な富を築きました。
この時期にネオクラシック様式の豪華な建物が多く建てられ、現在の美しい街並みの基礎ができました。
また、180年以上の歴史を持つ「パトラ・カーニバル」は、この豊かな商業文化の中から生まれ、現在ではギリシャ最大、ヨーロッパでも最大級のイベントとして名が知れています(訪問したのはカーニバルの後だった)。
パトラのおすすめ観光スポットを紹介
パトラの観光は、やや広いですが、歩いて回るのが一番です。主要なスポットをピックアップしてみましたので参考にしてみてください。
新聖アンデレ大聖堂 (Cathedral of Saint Andrew)
パトラの象徴であり、ギリシャ最大、バルカン半島でも有数の規模を誇るギリシャ正教会の大聖堂です。

中央のドームは高さ約46メートルあり、その上には金色の十字架が輝いています。
内部の装飾は圧巻で、彼が処刑された際に張り付けされたX字型の十字架も模倣され鎮座しています。


聖アンデレ(聖アンドリュー)は、新約聖書に登場するイエスの使徒の一人で、シモンやペトロの兄弟であるとされています。
西方教会、東方教会ともに彼を聖人としています。
この大聖堂は1970年代と比較的新しい建築ですが、その隣には旧聖アンデレ大聖堂がバシリカ風建築で残っています(こちらも現存する建築は19世紀のもの)。
旧聖アンデレ大聖堂は比較的こじんまりしたつくりですが、内装は素晴らしく是非併せてみていただきたいです。

こちらには祭壇の右側側面に聖アンデレのお墓があります。
全くの無知識で訪問した我々でしたが、お祈りに訪れていた地元の方?から聖アンデレのお墓があると片言の英語で教えていただき、ありがたく参拝?させていただきました。
どちらの教会も正教会らしくきらびやかな装飾の中にも深く強い信仰を感じてしまうような独特な雰囲気があります。
またここまで訪れたらすぐに海岸線に出れます。
そこにはパトラ灯台もあるので是非合わせて訪問してみてください。

パトラ城 (Patras Castle)とアギオス・ニコラオス階段
アノ・ポリ(上部市街)の最も高い場所に位置するこの城は、6世紀にビザンチン皇帝ユスティニアヌス1世によって、古代のアクロポリスの跡地に建設されました。
まずはカト・ポリ(下部市街)から観光名所でもあるアギオス・ニコラオス階段を上りパトラ城を目指しましょう。
少し上るごとに振り返ると景色が変わっていき階段の上部までくれば、パトラの街並みやその先に広がる海を一望できます。

ここまでくれば、パトラ城の城壁の一端へ取り付いたようなものです。
ただここには入り口は無く城壁沿いに大きく迂回しなければなりません。

ここからは気晴らしに街中にあるオレンジの木を見ながら城壁沿いに半周します。
その内城砦への入り口が見えてきます。

門を抜け城内に進むとそこは広々とした公園になっていました。
門を入ってすぐ右側には管理人さんの建物がありますが、このお城、入場料は無料です!

一部修復された砦や城壁内最上部にあるお城へも自由に登ることができます。

正直言ってここまできちんと整備されていて無料でいいの?って感じです!
お城の最上部まで登れば、またもやパトラの町とパトラ湾その先のエーゲ海?アドリア海?を一望できます。

ギリシャの国旗を入れての記念撮影をお忘れなく!
アノ・ポリ(上部市街)にある丘に広大に広がるパトラ城とその城塞ですが、その中のほとんどが公園として開放されています(一部未修復、または過去の地震による崩壊で立ち入り禁止エリアもあり)。

それにしても訪れたのはカーニバルが過ぎ去った2月末、あまりの晴天と一面の緑に季節を忘れそうです(気温はさすがに14-15度ですが日差しがギリシャ!)。
おまけにこの城砦、ほとんど人がいません(とことん空いていました)。
もしかしたら夕暮れ時がベストらしいので、朝から上るバカはいないのかも(一番乗りでした)。
ローマ時代のオデオン (Roman Odeon)
パトラ城を見学(散策のほうが適切かも)したらアノ・ポリ(上部市街)の街並みを見ながらローマ時代の2世紀に造られた半円形のオデオン(音楽堂)を目指しましょう。
途中の街並みも結構楽しめます。

さて、お目当てのオデオンですが、アテネのイロド・アッティコス音楽堂と並び、保存状態の良さで知られています。
見どころは 美しいレンガ造りの構造と、音響設計の素晴らしさだそうです。
入口はちょうど音楽堂の裏の部分(半円形の直線部分)にあり、こちらも入場無料です(特別な日だったわけでなくいつも無料みたいです)。

背面部から中に入り、私たちは舞台の方には進まずそのまま観客席のほうへ登りました。

残念ながら観客席はきれいに整備が行き届いており、遺跡感はあまりありません。
夏には「パトラ国際フェスティバル」の会場として使用され、現在もなお現役の文化拠点らしいです。

個人的には舞台の裏側の通路に残る床のモザイクが印象的でした(遺跡感アリ)。

もちろん、観客席の最上部まで登れば、これまたいい眺めが楽しめます!
パトラ考古学博物館 (Archaeological Museum of Patras)
2009年に開館した非常にモダンなデザインの博物館です。
パトラとその周辺で発掘されたミケーネ文明からローマ時代までの遺物が展示されています。
特にローマ時代のモザイク画のコレクションは世界屈指らしく、当時の人々の暮らしや神話が、色鮮やかな小石によって再現されているそうです。
今回は残念ながら時間の関係で訪れることができませんでした。
流石に博物館は有料です(2026年2月時点で10ユーロでした)。
リオ・アンティリオ橋 (Rio-Antirio Bridge)
パトラ中心部から数キロ離れたコリンティアコス湾に架かるギリシャを代表する斜張橋です。
ペロポネソス半島側のパトラ近郊のリオとギリシャ本土側のアンティリオを結んでおり、長さは約2.25キロメートルです。

2004年のアテネオリンピックに合わせて開通したこの橋は、現代工学の傑作と言われており、4つの巨大な主塔から伸びるケーブルの幾何学的な美しさは、昼夜問わず美しい姿を見せてくれます。

ちなみにこの橋を渡るのに乗用車は片道15.9ユーロ(2026年2月末時点)かかりますが、フェリーで渡れば、7ユーロ(車代だけで人はタダ)だそうです。
よく考えればフェリーに乗って橋を眺めながら15-20分の船旅を楽しむのが正解では、、、(往復で橋を利用してしまった)。
アテネからパトラへの移動方法
アテネからパトラまでは約210-240km程度です。
以前に比べ交通インフラが整備され多様で、比較的にスムーズに移動できるようになったそうです。
バス、鉄道、レンタカーと移動手段は皆さんの旅行スタイルで選んでください。
高速バス(KTEL Achaias)
最も一般的で、本数も多く信頼できる移動手段との事です(利用はしていません)。
出発はアテネのキフィソス・バスターミナル(KTEL Kifisou)でパトラのバスターミナルまでの所要時間は2時間半から2時間45分程度です。
料金は2026年3月時点で往復で38ユーロとかなり安め、公式サイト(KTEL Achaias)で事前予約が可能です。
鉄道 (Hellenic Train)
現在、アテネからパトラへの直通列車はありませんが、鉄道とバスを組み合わせたプランが利用できます。
アテネ駅出発の場合、鉄道でキアト(Kiato)まで行き、そこで鉄道会社が運行する専用の連絡バスに乗り換えてパトラへ向かいます(所要時間約3時間半、往復で34ユーロ)。
また、乗り換えは2回になりますが、アテネ空港からパトラへ向かうことも可能です(往復40ユーロ)。
ゆっくりとローカル鉄道の旅の情緒を楽しみたい方にお勧めかも。
また、バスや鉄道を選択し、パトラに着いてからレンタカーを利用するのも一考かもしれません。
レンタカー
私たちは今回レンタカーをアテネ国際空港で借り4泊5日の旅に利用しました。
パトラのみならず他の観光地にも訪れたく、また限られた時間でロスなく回りたかったのでレンタカー一択でした。
アテネ空港から新しい高速道路(Olympia Odos / A8)が全線開通したため、運転は非常に快適です。
所要時間は多少の渋滞もありつつ、2時間半から2時間45分といった感じでした。
ただし高速道路は有料区間が多く、片道で計6か所の料金所を通過しました(各料金所での支払額は、2-3ユーロ程度でした)。
支払いは、現金、クレジットカードで可能です。ゲートごとに支払方法が掲示されているのでギリシャ版ETCのゲートに行かないように注意!
ちなみにギリシャは全般的にレンタカーが安く、今回借りた小型車(OPEL CORSA)で保険込みで155ユーロぐらいでした。
パトラ観光の感想
町中に観光名所があるというわけではありませんが、これまで訪れたどのギリシャの町よりも観光化されていない街だったと思います。

ギリシャ第3の都市なのに、なぜかツーリストインフォメーションが無いんです(あるのかもしれないが見つけられなかった)。
またパトラ城やオデオンなども無料で気軽に散策できました。
町全体が海に面している感じでとても気持ちよく、またとても穏やかな海がその快適さを一層引き立てていました(やや内海にある街なので海は波も無く終始穏やか)。

我々は海沿いのヨットハーバーのあるエリア(少し中心部から離れる)に宿泊していましたが、毎日ホテルのベランダから眺める夕日が最高でした!