さて、今回もトルコの代表的な大都市イスタンブールを紹介していきます。
イスタンブール郊外にあるエユップ(Eyüp)またはエユップスルタン(Eyüpsultan)地区は、イスラム教の聖地として今も絶えまなく多くの巡礼者が訪れています。
エユップ(Eyüp)の由来
現在、エユップ(Eyüp)または、エユップスルタン(Eyüpsultan)と呼ばれているこの地区は、この地で戦死したアブ・アイユーブ・アルアンサーリ(Abū Ayyūb al-Ansārī:トルコ語ではアイユーブがエユップとなった)の名前に由来します。
彼は、イスラム教の始祖であるムハンマド(マホメッド)の盟友の一人であり、ムハンマドの死後、戦士としてウマイヤ朝によるコンスタンチノープル包囲(西暦674-678ごろ)に参加し、町の城壁の外で戦死し埋葬されたらしいです(西暦669-674ごろ)。
その後、1453年のオスマン帝国(オスマントルコ)のメフメト2世(ムハマド2世)によるコンスタンチノープル征服により墓が再発見され、現在のエユップに建設されたモスク(エユップ・スルタン・モスク)に寄り添うように霊廟も作られました。
現在のエユップは、イスラム教徒にとってメッカやメディナ、イェルサレムに次ぐ聖地とされ、日々多くの巡礼者が国内外から訪れているようです。
エユップ(Eyüp)へのアクセス
エユップは、イスタンブールを東西に横切る金角湾を奥に進んだ地区にあり、イスタンブールの中心地からは、下記の方法で向かうことができます。
1.ガラタ橋脇のエミノニュ(Eminönü)から99番のバスで約20分
2.カラキョイ(Karaköy)からエユップ(Eyüp)へフェリーを利用して約40分
どちらのケースでの、出発時間に合わせてグーグルマップで適切なバスやフェリーを見つけてください。
フェリーは非常に本数が限られており、船旅がしたい場合は、事前に出発時間を確認する必要があります。
またバスは、紹介した99番以外にも可能な路線があるので、これも出発時間に合わせて適切なバスに乗車してください。
すでにこちらの記事(【トルコ・イスタンブール】イスタンブールでぶらぶら・公共交通機関を便利に使おう! - さあ、飛ぼう!)でも紹介していますが、どちらに乗っても乗り換えが無ければ市内最低料金で行くことができます(2023年1月時点:イスタンブールカード利用で9.90リラ、約0.50ユーロ)。
モスク、霊廟を見て歩く
エユップは先に紹介したアイユーブ(エユップ)の霊廟を訪れる巡礼者を迎え入れる門前町のようなところです。
町の中は、エユップ・スルタン・モスク(Eyüp Sultan Camii)を中心にオスマン帝国時代の歴代の宰相の霊廟などが立ち並んでいます。
ご覧の様に町の中はモスクと霊廟などでいっぱいです(赤いのすべて)。
さて、川沿いのバス停から聖地の中心地に向かってあると、左右にお土産物屋(ちょっと宗教色のあるお土産)や飲食店などが立ち並んでいます(まあ、日本と同じ門前町ですね)。
町の中心には大きな噴水のある広場があり、その広場の一角にエユップ・スルタン・モスク(Eyüp Sultan Camii)があります。
モスクの敷地内に入る門には係員のような人がいて、勝手に入っていいのか躊躇しましたが、イスタンブールではモスクに入ることを拒まれたことは無かったので、そのまま門を抜け、モスクの敷地内の広場に入りました(モスレムの人たちがモスクに入る前に体を清めるところ)。
それでは、まずはモスクの内庭へ進みます。
この内庭でまず目を引くのが、入って左側(モスクの入り口と反対側)の壁です。
ブルーを基調としたタイルが一面に張り巡らされた、とにかく美しい壁が現れます。
後でわかりましたが、この壁はエユップの棺が納められている霊廟の壁で、この後も多くの方々がこの壁、または壁にある窓から見える棺が収められている小部屋に向かって祈りを捧げていました。
さて、モスクのほうですが、1458年に建設されましたが、地震や落雷による破壊、その後の再建、改築などを経て2つの尖塔(ミナレット)を持つ現在の姿になっています。
内部は、ブルーの絨毯がまず目を引きますが壁の装飾はやや抑え目でしょうか。
上部のドームに描かれている幾何学模様と装飾文字はどのモスクを訪れてもその美しさに目を奪われます。
このときはまだ時間も早かったこともあり、空いていましたが、時間がたつに伴い、参拝者が次第に増えてきました。
一度外に出て、モスクワわきの入り口から出入りをしている人たちについていくと、そこがエユップの霊廟でした。
モスク同様にここでも靴を脱いで霊廟に入りました。
モスクでは多くの場合、入り口前に靴棚がありますが、この小さな霊廟にはそれもなく、皆、自身の靴をもって中へ進んでいきました。
これまでもイスタンブール内のモスクにある霊廟を訪れたことはありますが、上の写真のような回廊を進み、さらにタイルで囲まれた小部屋の中に棺が納められている霊廟は初めてでした(あのスレイマン大帝の霊廟でもここほどではありません)。
ここでは、皆、他人のことは気にせず、一心に祈りを捧げており、観光客とおぼしき人は見当たらず(たまたまかもしれませんが)、我々にとってやや場違いな感じを抱いてしまうほど、神聖な場所感にあふれていました(実は、あとで最初の説明で書いたような、イスラム教徒にとってはかなり重要な聖地であることを知りました💦)。
エユップの丘(ピエール・ロティの丘)へ登る
イスラム教の聖地のひとつであるエユップですが、それに肖る様に、このモスクの裏にある丘は一面、お墓になっています。
そのお墓の中を丘の上まで続く道が、とてもいい散歩道となっており、丘の上には、遠くイスタンブールの街並みを金角湾越しに眺めることができます。
道の途中には、下の町以上に野良猫の住処になっているようで、常に猫たちが視界に入っている感じです(猫好きな方おすすめです)。
また散歩道の途中途中からもイスタンブールの遠景を楽しむこともできます。
丘を登り詰めるとピエール・ロティ・カフェやお土産屋などがあり、丘の上からの景色を楽しむことができます。
15-20分程度の上り道なので、この町まで来たら是非、足を延ばしてみてはいかがでしょうか?
歩いて登るのはちょっと…という方にはロープウェイもありますよ!
まとめ
毎度のことですが、行く前の下調べが不十分で、この町、このモスクに関する知識が不十分なままの訪問となり、戻ってきてから地団駄を踏んでおります。
エユップ・スルタン・モスクを中心に様々な霊廟やお墓がありますが、我々には一向にどのような人(時代や役職など)のものかわからないままでした(オスマン帝国時代の宰相などのお偉いさんのお墓もあったようです)。
町は門前町らしく、お土産屋さんもちょっと宗教色があり、またさすがイスラム教の聖地、アラブ系の方々などトルコ以外からの観光客(というか巡礼者?)も多く来ていた印象です。
イスラム教にとっての聖地でありながらトルコという開放的な国にあるおかげで、我々のような異教徒でも、まったく問題なく見学させてもらえました。
また、エユップ・スルタン・モスクやエユップの霊廟などの宗教施設はすべて無料です。