今回はイタリア・ピエモンテ州の町アスティ(Asti)を紹介します。
アスティと言うとスプマンテ(イタリアのスパークリングワイン)を思い出す方も多いかと思いますが、町の中にはいくつのも塔が残る見どころ一杯の町です。
時間があればゆっくりと美術館や博物館など見て回るのもいいと思います。
アスティ(Asti)について
アスティ(Asti)の歴史は古く、すでに新石器時代から人が住んでいたようです。
紀元前89年にはローマによりアスタという町名で植民地化されています。
12世紀には主に商業や金融業の発展とともに町は栄え、多くの裕福層の一族がこぞってアスティの象徴ともなる独自の塔を持つ宮殿などを作りました。
その後も発展をつづけたアスティは18-20世紀にさらなる宮殿の改築や増築など、町の発展に伴う城壁の一部撤去などを経て現在の様に、町の中心部に中世の面影を残す町となりました。
町のシンボル的存在である塔は、かつては120塔ぐらいあったようですが、現在は、数塔を残すのみとなっています。
町の散策
すでに記したように、現存する塔を見て歩く以外にも博物館、美術館、教会などが徒歩圏内に多数あります。
スタートは、ビットリオ・アルフィーリ広場(Piazza Vittorio Alfieri)に面したツーリストインフォがおススメ。
ここで簡単な観光用の地図を手に入れて散策をはじめましょう。
この地図では20か所がピックアップされていますが、もちろんここ以外にも見どころがあるので、滞在時間に合わせて町の中を散策してください。
教会をめぐる
Collegiata di San Secondo(サン・セコンド教会):地図上④
サン・セコンド広場(Piazza S. Secondo)に面して建つ、アスティの守護聖人(聖セコンドは西暦 119 年にここで殉教)に捧げられた教会、大聖堂と並んでアスティで 2 番目に重要な教会です。
初期のキリスト教とロマネスク様式の建造物のうち、10 世紀の鐘楼と地下室だけが現存しており、教会は何度も再建工事を経てきました。
現在の教会は 1968 年から 1974 年にかけて行われた修復工事によるものです。
とは言え、内装を含め見ごたえのある装飾が施されています。
サン・マルティーノ教会(Chiesa di San Martino):地図上⑪
もともとは中世に建てられたが、1707 年に再建された後、1987 年まで廃墟のままでした。
教会は、バロック様式で中央にギリシャ十字架を備えた単一のアーチ型の身廊で構成されており、その両側には礼拝堂があります。
ドームには八角形のティビュリウムがあり、鐘楼は 14 世紀に建てられました。
正面入口の上の中央部分には、聖マルティンの像があります。
内部はカネッリの画家ジャンカルロ・アリベルティによる美しいフレスコ画がありますが、あいにく我々が訪れた際には、観光案内をする学生?に付きまとわれゆっくり見学もできずに退散しました。
改めて再訪してみたい教会です。
サンタ・カテリーナ教会(Chiesa di Santa Caterina):地図上⑯
町の西側にある18世紀に建てられたバロック様式の教会で中央のドームが際立って目立つ特徴的な建築です。
またこの教会はこの後紹介する町を代表する塔の一つTorre Rossa(トッレ・ロッサ:赤い塔)に隣接しています。
ドームの壁には、4 つの大きなアーチ型の窓から光が差し込み聖ペテロ、聖パウロ、アッシジの聖フランチェスコ、聖ヨセフが描かれています。
サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂(Cattedrale di Santa Maria Assunta):
ピエモンテ州最大の大聖堂で、以前のロマネスク様式の大聖堂を基礎として 1309 年から 1354 年の間に再建され、数世紀にわたってさまざまな改修が行われました。
ロマネスク様式の鐘楼は1266年に建てられました。
大聖堂はラテン十字型の設計で、3 つの身廊があります。
外観はオリジナルのゴシック様式をそのまま残していますが、内部は 17 世紀末に完全に漆喰塗りとフレスコ画が施されました。
正面の 3 つのバラ窓と垂直の突き出しがゴシック様式を際立たせています。
是非、じっくり時間を掛けてみていただきたい大聖堂でした。
塔をめぐる
さて、すでに記したようにかつては200塔を超える塔が建つ、まさに”塔の町”だったようですが、現在もその名残があり、観光局のマップ上でもそのいくつかが紹介されています。
トロイアナ塔(Torre Troyana):地図上⑤
12世紀末から13世紀初頭にかけてコルテシ家によって建てられたもので、1250年にトロイア家の所有となり、トロイア家は隣接するコルテシ宮殿を取り壊して、新たな豪華な邸宅を建てました。
しかし、トロイア家は塔を残すことを決め、石の弦列と優雅な縦通窓が特徴的な塔を3階分高くしたそうです。
13世紀後半には、吊りアーチとギベリン様式の胸壁を備えた三重冠が追加され、トロイアナ塔 (Torre Troiana) が完成しました。
14世紀末には、宮殿とトロイアナ塔がドゥカーレ宮殿の国有財産群に組み込まれ、さらに1420年に市に使用が認められ、市は塔に公共の鐘を設置しました。
それ以来、トロイアナ塔は長い間国有財産のままでしたが、近代になってその所有権を取得した自治体によって継続的に使用されていました。
観光のために内部に入ることが可能です。
コメンティナ塔(Torre Comentina):地図上⑥
この塔はローマ広場に面したトロイアナ塔に次ぐ38mの高さを誇る塔です。
何世紀にもわたり、この塔は隣の教会の鐘楼として機能していたため、サン ベルナルディーノ塔と呼ばれていましたが、1897 年に破壊され、ネオ ゴシック様式の建物であるヴァシェッロ メディチ宮殿が建てられました。
この宮殿は現在も残っています。
レギブス塔(Torre de Regibus):地図上⑩
もともとは9階39mの塔であったようですが、上部3階が取り除かれ現在の姿になったようです。
この塔は、周辺地域を所有していた王家またはデ・レギブス家にちなんで名付けられました。
赤い塔(Torre Rossa):地図上⑮
なんとこの塔の基礎部分は紀元前1世紀、アウグストゥス統治下のローマ時代にまでさかのぼるそうです。
上部は12世紀に建てられ、トッレ・ロッサ(赤い塔)は隣接する教会の鐘楼として使用され始め、現在もその役割を果たしています(現在はサンタ・カテリーナ教会の鐘楼)。
円筒形の塔は、白と赤の多色の綿と砂岩の帯が交互に並んでおり、アスティのロマネスク様式の典型的な様式です。
当初、塔の先端には尖った金メッキの銅の尖塔がありましたが、不安定になったため1777年に取り外されたそうです。
朝市を訪れる
朝市なども気になるところですが、アスティのようなやや大きい町の朝市を除いてみました。
朝市は、毎週水曜日と土曜日の午前中に開かれています。
場所は、旧市街に入り口で常設市場であるコペルト市場(Mercato Coperto)のすぐ裏手の駐車場、カンポ・デル・パリオ広場(Piazza Campo del Palio)です。
ある程度予想はしていましたが、思っていた通り、完全な生活市場であり、観光的な要素は全くありません。
我々は水曜日に訪れたのですが、売られているものの多くは衣類、靴、家庭用品(カーテンやテーブルクロス用の生地など)、生活に密着したものがお店の大部分を占めており、食品関係を取り扱うお店はあまりありませんでした。
そのため、どちらかと言うと市場が開かれている広場の北側にあるコペルト市場(Mercato Coperto)のほうが食品の常設店が入っており旅行者にとっては楽しいかもしれません。
これは、プロヴァンスなどでも同じですが、観光化が進んでいるところでは、朝市でも旅行者受けしそうなお店が多く出ますが、基本的には、一般住民のためのマーケットのため、基本的に朝市では生活雑貨中心に販売されています。
特に衣類はどの町や村に行っても最も出店が多く、またどこでも賑わっています。
とは言え、ピエモンテでももう少し田舎の町に行く、野菜を売りに来ている農家や生パスタのお店の出店などもあり、楽しめます。
町へのアクセス
アスティへのアクセスは州都であるトリノからだと、約60キロ程度で車であれば1時間弱、電車を利用すれば約35-40分程度でアクセスが可能です。
ミラノからだと、約125キロで車で1時間半、電車の場合2時間以上(遠回りですがトリノ経由もある)とやや不便です。
まとめ
今回は旅の都合で、日帰りで訪れたアスティですが、Smart Ticketを利用すると一人10ユーロで7つの施設を訪問できます(7日間有効であるが各施設一回のみ有効)。
Tourist Services - Visit Asti | Feeling Good
とても歴史ある町なので、本来はじっくり博物館などもめぐりながら見学できればと思いました。
真夏の訪問で正直言って、熱さに完全に負けました。