さて、今回はコロナウイルス蔓延ですっかり乗る機会を逸していたANAの新ビジネスクラス『THE Room』の搭乗記となります。
また併せててこれまでのANAビジネスクラスを支えてきた『ANA BUSINESS STAGGERED』との比較などもできればと思います。
新ビジネスクラス『THE Room』
すでに導入されてから丸3年が過ぎた新ビジネスクラス『THE Room』ですが、導入から数か月でコロナウイルス蔓延となり、今回、初めて乗る機会を得ました。
ANA B777-300ER 新212席 ビジネスクラス シート詳細|国際線|ANA
導入されている機材は、B777-300ERのみで欧州線ではロンドン線に導入されています(その後フランクフルト線にも導入されましたがコロナウイルス蔓延に伴うフライトスケジュールの変更等で現時点では復活していません)。
建築家の隈健吾氏のデザインによるものですが、写真やビデオなどで見ていた限りでは、シートや背もたれすべてが平らに見えて(なんかベンチみたい?)、長時間フライトでの乗り心地が非常に気になっていました。
これまでも数社のフルフラットになるビジネスクラスに搭乗する機会がありましたが、このタイプでは、比較対象はビジネスクラス世界一と言われている『カタール航空のQSuite』かと思います。
それでは、今回利用したロンドンー羽田線 NH212便 についてお知らせしていきます。
ウクライナ戦争の影響で、フライトルートは引き続きロシアを避けた南側ルートとなっていました。
NH212便:ロンドン(LHR)発 東京・羽田行き
機材:B777-300ER
予定出発時間:19:00(実際の出発時間:19:28)
予定到着時間:17:55(実際の到着時間:17:37)
実際の飛行時間:13時間09分
『THE Room』の乗り心地
今回は進行方向に向かって左側の14cの座席が確保できました。非常に混雑しており、予約当初は通路内側の席しかない状態でしたが、時々座席状態を確認していたおかげ?で、偶然に14cの空きを発見し、すぐにシートチェンジを行いました。
『THE Room』では窓側2列の席のうち、直接窓際に座席があるシートは進行方向に背を向けたシートとなります。
それに対し、今回利用した14cは窓側2列にシートの通路側に座席がありますが、向きが進行方向となります。
通路側のシートとはいえ、今回のANAの新ビジネスクラスのシートであれば、シートベルトを外した状態であれば窓側に移動することもできるため、自由に外を眺めることも可能です。
それぞれのシートにはドアが付いており、若干の隙間は残りますが、ほど個室を形成できるという点では、まさにカタール空港のQSuiteの対抗馬になりえると思います。
さて、一見ベンチシートの様に見える座席ですが、座った感じでは、違和感はなく十分長距離でも大丈夫な印象でした(実際大丈夫でした)。
また全体的な居住性ですが、当然ですが、入り口からして狭く、決して広い空間ではありません。
それでも、テレビ横のテーブルの配置やフラットに仕上げたシートの形状、全体的にシンプルに仕上げられているデザインのおかげで、QSuiteより広い(体を動かしやすい)印象を受けました。
大画面モニターわきの薄い収納ボックスには下部に電源(ACコンセントとUSB)もあり、iPhoneやiPadを充電しながら格納できたり、ヘッドフォンなども格納可能で、卓上を常にすっきりさせることができました。
また、フルフラットにしたときは、写真通り、一面がフラットになり、QSuiteでも味わえない”座敷”感覚を味わえます。
無論、ビジネスクラスの限界かもしませんが、上の写真のテーブル部分は向かい側座席の人の足が入る部分であり、この形状からも寝る際に足を入れられるスペースは決して広くありません。
同様に縦の長さも十分でないため、ある程度の身長の人の場合(170㎝ぐらいから)は体を斜めにして寝ることになります(それでもフラットなので問題なし)。
そのような利用が可能な分、QSuiteよりも広い空間を利用できます。
それ以外の点ですが、前部モニターは24インチとなりかなり大きく感じます。リモコンや座席の操作盤はすべてテーブル脇に集約されています。
特に座席の操作は、ボタン以外にもダイヤルでの操作も可能となっており、好みの角度への調整が簡単でした。
やや不便を感じたのは、イヤフォンジャックが座席わきにあり、何かと引っかかることが多くありました(同様にもう一つのUSB充電)。
ついでに、機内でいただけるアメニティですが、しばらく乗っていないうちに、グローブ・トロッターのアメニティポーチに変わったんですね。
できればフェイスミスト、リップクリーム以外に、以前の様にハンドクリームもあればいいかなあ、と思いました。
食事に関しては、大きな変化は感じられなかったので割愛します。
以前はあったピエール・エルメのデザートは無くなってしまったんですね。
『ANA BUSINESS STAGGERED』との比較
さて現在も現役であるスタッガードシートタイプのビジネスクラスですが、現時点での欧州線ではロンドン以外に継続して導入されています。
NH231便:東京・成田発 ブリュッセル行
機材:B787-9 Dreamliner
予定出発時間:10:40(実際の出発時間:10:55)
予定到着時間:17:50(実際の到着時間:16:43)
実際の飛行時間:13時間48分
ANAのスタッガードシートタイプは旧型と新型があり、今回の機材では新型となりました。
新旧型だけでも以外に使い勝手が異なり、比較ポイントが多くありますが、今回はあくまで、THE Roomとスタッガードシートタイプということで比較していきます。
居住性、開放感に関しては、そもそも利用できるスペースが異なるので、THE Roomが圧倒的に広く感じます。
ただし、席脇にすぐにテーブルがあるスタッガードシートタイプもちょこちょこと携帯電話を触ったり、iPadを利用したりするには便利です。
THE Roomが不便なのではなく、前にあるものを取るより、脇にあるほうが便利というだけ。
また、フルフラットにした場合ですが、THE Roomに乗った後だと、どうしても上半身の狭さが気になります。
それに対し、足の部分は明らかにこちらの方が広い。また全が長いので、その点での窮屈感は感じません。
重複しますが、一人分のスペースとして考えた場合、フルフラットのスペースが広いTHE Roomは圧倒的に開放感があり、ドアを閉めた時の個室感は比較できません。
それに対しスタッガードシートタイプはあくまで、座席とわきのテーブルで構成されている感じです(これでも十分、他者との距離感は感じます)。
これはフルフラットにしたときにより差が出ます。
ただし、身長がある方にとってはTHE Roomでは、体を延ばすことは難しく、返って疲れる可能性もあるかと思います。
さて、皆さんはどちらが好みでしょうか?
まとめ
今回は、初めて利用したANAの新ビジネスクラス『THE Room』に関してのレポートとなりました。
復路で利用したスタッガードシートタイプとの比較もできたので、合わせて書いてみました。
居住性、開放感という意味では、世界一と言われ続けているカタール航空の『QSuite』をしのぐビジネスクラスが出てきたと実感できました。
ただビジネスクラスは座席だけでないので、トータルでのサービス内容に関しても好みが分かれるところですね。
個人的にはANAの新ビジネスクラス『THE Room』を利用して、改めてカタール航空の『QSuite』に乗りたくなりました(いま日本行は機材が違いますよね)。