ドイツ連邦政府と各州政府は2022年11月2日の今後のインフレ対策(主にエネルギー問題)に関する決定の一つとして、”Deutschland-Ticket (D-Ticket)” いわゆる月額49ユーロの全ドイツ公共交通機関乗り放題チケットの導入に関して、連邦および州の交通相による合意を公表しました。
- 公表されている49ユーロチケットの内容
- 導入開始時期について
- チケットの価格に関して
- チケットの購入先は?
- 9ユーロチケットとの相違点は?
- "Deutschland-Ticket(49ユーロチケット)"の適用条件
- まとめ
公表されている49ユーロチケットの内容
- 月額49ユーロ
- 名称はDeutschland-TicketまたはD-Ticket
- 全ドイツ内の公共交通機関(電車、バス、トラムなど)が乗り放題
- 月単位の定期継続購入システムではあるが、月単位での解約が可能
- 導入は2023年5月を予定
2022年6-8月に期間限定で導入された ”9ユーロチケット” の後釜としての期待が高い一方、異なる点に関しても注意が必要かと思います。
順を追って今回導入される "Deutschland-Ticket(D-Ticket)" の現在時点でわかっている条件に関してみていきましょう!
導入開始時期について
連邦と州の合意では2023年よりとなっていますが、実際には、必要となる財源の確保及び連邦と州の負担比率などを決めておく必要があり、現時点では2023年5月からの導入となると見込まれています。
また、現時点での販売開始時期は2023年4月3日が予定されています。
下記サイトでメールアドレスを登録すると最新情報が配信されます。
D-Ticket - EUR 49 ticket for buses and trains in local transport
チケットの価格に関して
導入される2023年とその翌年2024年に関しては49ユーロであることが決まっています。それ以降の年度に関しては、インフレの影響なども加味され価格調整が加わる可能性があります。
チケットの購入先は?
基本的に電子購入となるようで、自販機での販売はなさそうです。
購入のためには、ドイツ鉄道のURLであるhttps://www.bahn.de/、またはアプリ(DB-Navigator)、ドイツ鉄道のチケットセンター、さらに各地域ごとの公共交通機関のURLまたはアプリでの定期継続購入申し込みとなります。
9ユーロチケットとの相違点は?
9ユーロチケットはあくまで期間限定の月単位で購入可能なチケットであったのに対し、今回のチケットは定期継続購入チケットのため、解約しない限り自動継続購入となります。
解約は月体位で可能との事なので、毎月継続して利用する人以外は、必要な月のみ購入したのち、その都度、定期購入解約を忘れないようにする必要があります。
"Deutschland-Ticket(49ユーロチケット)"の適用条件
チケットの適用範囲は下記の様になります:
- 路線バス
- トラム
- 地下鉄(U-Bahn)
- 近郊線(S-Bahn)
- フェリー (ハンブルグやベルリンなど)
- 都市間近郊線
さらに一部国境を跨ぐ路線に関しても適用されるようです(詳しくは確認要)。
チケットの適用範囲外となるのは下記の移動です:
- ICE、IC、EC、ECEなどドイツ鉄道(DB)が運営する長距離列車および民間として長距離列車を運営している "Flixtrain" などは利用不可
- 国外から乗り入れている長距離列車も同様
- 公共交通機関に1等、2等の区分がある場合は2等のみ利用可能
- エリアごとの定期券に付随する特典(週末家族同伴、自転車の帯同など)の利用に関しては現時点では詳細不明(全く適用されないか、エリア限定で利用が可能なのか詳細はこれから)
- 観光用列車(例:山岳鉄道など)
まとめ
購入に関しては、すでにエリアごとの定期券を所有する人にとっては価格的メリットがあるかと思います。
ただし、それ以外の人にとっては”9ユーロチケット”の時ほどのインパクトはなく、また引き続き長距離高速列車が利用できないことから、ビジネス上での利用も考えづらく、実際に購入する人は限定的になる可能性があります。
また地域ごとに、もともとそのエリアに特化した”お買い得チケット”なども存在するため、購入にあたっては、その目的に沿った検討、比較が必要ですね。
果たして、今回の政策で、エネルギー代高騰による自動車利用からの転換を即し、より多くの人が公共交通機関を利用することとなり、結果的に温室効果ガス排出削減にも貢献できればいいのですが。
引き続き、続報があればお伝えしていきます!