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【アルザスワイン街道を行く】MolsheimからSélestatまで

フランス・アルザス地方を南北に抜けるアルザス・ワイン街道(La Route des Vins d'Alsace)

今回はワイン街道に寄り添ううように点在する村々を収穫前のブドウ畑とともに紹介していきます。一般的な観光で名前の知れ渡った町と異なり、今もワイン作りとともに村々があることを知りました。

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今回紹介していくワイン街道について

今回案内していくアルザスワイン街道ですが、題名にもある様に以前にご紹介したブガッティで有名なモルシャイム(Molsheim)からワイン街道の中間地点にあるセレスタ(Sélestat)までを紹介していきます。

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このエリアには、これまで紹介してきたような観光で名を馳せている町や村は無く、目立ったお土産物屋などもない、どちらかというとひっそりとしたイメージの町や村が点在しており、その間にブドウ畑が広がっている感じです。

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とは言え、アルザスワイン街道というだけあり、そんな町や村にも驚くほどの数のワイナリーがひしめき合っており、また、そんなワイナリーを訪問している玄人の旅行者で賑わっています。

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もちろん街道沿いには個人経営のペンションやワイナリーが経営している宿、またはリゾートホテルなども多くあり、お値段の方もピンキリといった感じです。

今回初めて寄り道をしながらこのエリアを走ったのですが、あまり観光化されていない町と、どこまでも広がるブドウ畑にすっかり魅了されてしまいました!

ドライブスタート!

これではモルシャイム(Molsheim)からスタートして南に向かって移動を開始しましょう!

距離にしたらたった50キロ程度ですが、寄り道ばかりしていると、とても一日では回れません。

今回の出発地点モルシャイム(Molsheim)に関しては下記リンクをご参照ください。

【アルザスワイン街道を行く】名車ブガッティの町、モルシャイム(Molsheim) - さあ、飛ぼう!

町を通り抜ける街道に大きな市門が残るロスハイム(Rosheim)

最初にご案内する町は街道D35(実はこれがまさにアルザスワイン街道です)が町の中央を通り抜ける街道沿いの町ロスハイム(Rosheim)です。

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市門は当時のサイズのため、車ですれ違うことはできず、対向車が来ないことを確認してから潜ります。

町に入るとすぐ右手にサン・ピエール-サン・ポール教会が現れます。周りが開けているせいか街道からもその威風堂々とした全景を見ることができます。

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この教会は12世紀築でこの地域の”ロマネスク建築の宝石”の一つに数えられているそうです。

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また市壁の内側には昔の町の風景写真やそれをモチーフにした絵で飾られており楽しく拝見できます。

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かつては帝国都市だったオベルネ(Obernai)

オベルネ(Obernai)は、すでに1240年ごろには都市として栄え、1280年には神聖ローマ帝国下で帝国都市にまでなった歴史ある町です。また写真の鐘楼もそのころ作られたらしい。

この町にはモルシャイムから南下する電車の駅があるので電車でのアクセスが可能です。

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こちらの町については、クリスマスマーケット特集にて改めてお知らせします。

余談になりますが、ロスハイムからオベルネに向かう途中の村、ボーシュ(Bœrsch)にも立ち寄りました。街道沿いに見える6連式井戸?(Puits à six seaux)が立派だったので!

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ワイン祭りの町バール(Barr)

ワイン祭りで有名な町バール(Barr)。その祭りの歴史は100年にもなるとのことです。今でもアルザスのブドウ栽培の首都などと呼ばれているそうです。

こちらの町も旧市街からはやや離れてしまいますが電車でのアクセスが可能です。

旧市街は細く入り組んだ路地が多く、また、街中に小川を引き込んだ風景が和ませてくれます。

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アルザスらしい建築の集まる市役所広場は、町の西側のやや高い場所にあり広場を中心にその美しい街並みや市役所を見ることができます。

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またここにツーリストインフォメーションもあります。

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市役所の裏手にはさらなる高台があり教会があるので登っていきましょう。

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この教会まで達するとその後ろに広がるブドウ畑を見上げることができます。基本的に畑に立ち入らなければ、散歩道がどこの村でも整備されているので是非ブドウ畑散策してみてください。

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少し登れば眼下にバールの街並みや天気が良ければライン川の向こう側、ドイツのシュヴァルツヴァルド(黒い森)まで見渡すこともできます!

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オベルネからこの町に向かう一歩手前にハイリゲンシュタイン(Heiligenstein)という村があります。この村もワイン一色!、通りの右も左もワイナリーだらけで楽しそうです。観光客も多く路駐の多さに通り抜けるのに苦労しました。

またその村の入り口は高台になっており、とても眺めがいいのでついつい車を止めてしまいます。

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高台にあるひっそりとしたワインの村ミッテルベルクハイム(Mittelbergheim)

バールからさらに南に向かうと高台にあるワインの村ミッテルベルクハイム(Mittelbergheim)が現れます。いつもとってもひっそりしておりあまり人を見かけることが無いのですが、通りの左右はやはりワイナリーだらけ。

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たまに建物のガラス越しに試飲している人の姿を見るので、差し詰め『隠れ家的ワイン村』のような印象です(私たちの勝手なイメージです)。

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この村も、村のさらに上方にブドウ畑が広がっており散策が楽しめます。

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のんびりのブドウ畑の中を散策しているとピクニックをしている人や、ややしっかりとしたトレッキングシューズなどを履いた人などとすれ違うこともよくあります。

二つの塔を持つ城跡 Château de Haut-Andlau へは徒歩で約45分(3キロぐらい)で行くことができるので、ここに車を止めて向かう人もいるようです。

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修道院を中心に発展した村アンドー(Andlou)

現在の村の中心から少し外れたとこにあるアンドー修道院がこの村の始まりです。シャルル3世に勘当された王妃のリシャール(Richardis)によりこの修道院は設立されました。

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リシャールは死後、列聖され彼女の墓のあるこの教会は巡礼地となりました。

伝説ではこの地を示したのは野生の熊だということで、今も村の広場には熊の銅像があります(ブドウを食べている)。

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道路の反対側には噴水とともにリシャールと熊の記念像もありました。

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とても小さい村ですが、時間があればさっと回ってみるのもいいかと思います。

町全体がゼラニウムで彩られたイッタースヴァイラー(Itterswiller)

さてD35号をさらに南下していくこれまで見てきた村々と明らかに異なる、明らかにリゾートっぽい雰囲気の町が現れました(確かに高台の南斜面にある)。

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まず何よりもゼラニウムに彩られた家々が多く、またある程度の規模のホテルも多くみられます。表現が難しいのですが、これまで通ってきた生活感のある村々と異なり、すべてがすっきりしている感じがします。

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でもこのようなところにある一見山小屋風、ドイツの木組みのかわいいおうち風のホテルやレストランってかなり高級なんです!

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突然現れた高級施設が固まった村、イッタースヴァイラーですが、町外れにある教会に入ってみることにしました。

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とても小さい教会でしたが、側面の窓に鏤められたステンドグラスは美しく光の反射を映し出しており、これだけでも見に来た甲斐があったという感じです!

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また少し高台にあるので、街中のテラスから南側、西側に広がるブドウ畑を楽しむのもよさそうです。数件のレストラン(どれも高そう!)が南側に開けたテラス席を提供しているようです。

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ブリエンシュヴァイラー(Blienschwiller)周辺

今ご紹介したイッタースヴァイラー(Ittersweiler)~ノータルタン(Nothalten)~ブリエンシュヴァイラー(Blienschwiller)~ダンバッハ・ラ・ヴィル(Dambach-la-ville)と続く街道は、まさに写真の様に緩やかな丘陵地帯を抜けて村々をつないでいくルートになります。

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ついつい車を止めては写真を撮ってみたくなる風景ばかり続きます。

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ブリエンシュヴァイラー(Blienschwiller)では新たにお気に入りのワイナリーを見つけることができました。それに関してはまた後々お知らせしていきます。

現在も市門の残る町ダンバッハ・ラ・ヴィル(Dambach-la-ville)

この町ですが、その歴史はやはり古く、すでに11世紀に町として認められ14世紀には司教座のある要塞化された町となっていました。

こちらの町も電車の駅が旧市街外れにあり電車でのアクセスが可能です。

それでは町の北側から入ってきます。この門 Tour de Blienschwiller も狭いので車で通り抜ける際は対抗車への注意が必要です。屋根上にはお決まりのコウノトリの巣』があります(このちょっと前までいたのですが間に合わず💦)。

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現在も町全体が木組みの家なのではないかと思えるほど昔の佇まいを残しており、是非通り過ぎずに寄ってもらいたい村の一つです。

町の中には下記のような案内と、建物などについて様々な歴史解説が行われています。

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町役場前のマルシェ広場は町の中心地となり、レストランなどもありました。

またこれまであまり見かけることのなかった観光客向けお土産屋がありました!

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また広場にある噴水にはワインの入れ物を持った(多分)熊の石像が乗っています。

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特に歴史的建築の場合(木組みの家など)は、その歴史や遍歴など時代ごとの建築方法などが細かく説明されていました。しかもそれが目の前にある建物なだけにその建物の過去を知ることができたりします。

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もちろん街中はワイナリーがいっぱいあります。

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また、町の中を通り抜け上部のブドウ畑を目指すと Chapelle Saint-Sébastian へ向かうことができます。

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礼拝堂には、ロマネスク様式の塔とゴシック様式聖歌隊があり、バロック様式の主祭壇は豪華な装飾が施され、聖セバスチャンのために捧げられています。
またこの礼拝堂からは眼下にダンバッハ・ラ・ヴィルの町を見下ろすことができます。

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町からはさらに、12〜13世紀築のベルンシュタイン城跡へ向かうことができます。徒歩で約1時間、3キロ程度の山道となります。標高562mの城址は現在は改修が施され、そこから素晴らしい眺望が楽しめるそうです(そこまで歩いて行ってる時間は無かった)。

アルザスワイン街道の中間地点セレスタ(Sélestat)

セレスタ(Sélestat)は本来ワイン街道の町ではないのですが、ちょうど南北に走るアルザスワイン街道』の中間地点にあり、あまり知られていない町かと思い、今回の紹介の最後に含めました。

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このエリアでは一番大きい町であり、ストラスブールからも電車で向かうことができます。またこれまで紹介してきたワイン街道沿いを走る電車もセレスタを経由し、さらに南に向かいます。
町の歴史は8世紀まで遡れるそうですが、中世には都市として独立し、市民による自治が進んでいきました。

町の中心にはサン・ジョルジュ大聖堂(Cathédrale Saint-Georges)が聳え立っています。この大聖堂はそんな市民や商人により建てられたそうです。

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中世より独立して反映していた町だけあり、当時の名残を感じる石造の建物も多くのことっています(この辺は木組みの家ばかりのワイン街道沿いの村々とは大きく異なります)。

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セレスタはあまりガイドブックなどでは紹介されていなので、これまで訪問の機会が無かったのですが、思いのほか歴史建築が多く残っており、中世自治都市の経済力を感じられるような町でした。もちろん木組みの住居などもあり、きちんとアルザスらしさがありました。

まとめ

今回はアルザスワイン街道』の北側半分をまとめて紹介してみました。観光で有名なリクヴィルカイザースベルクエギスハイムなどはすべて南半分側にあり、この地域に関しては、特に日本語だとあまり情報がありません。

それでもゆっくりと回ってみると思いのほか観光客も多く、ワイナリーへの出入りも絶えることがないほどの人の移動がありました。

今回は少しでも、ちょっと玄人向けの『アルザスワイン街道』へ興味を持っていただければと思います。

アルザスワイン街道を行く』シリーズはまだまだ続きます。紹介したい小さい村々やワインナリー、またはクリスマスマーケットなど、これからも案内していきます。

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