クレタ島で最も有名と思われる観光スポットはやはりここ、クノッソスの宮殿でしょう。世界史の授業で習った記憶では、クレタ島⇒クノッソス宮殿の遺跡というイメージがずっと残っていました。
そんなイメージのまま、かなりの期待を込めて遺跡を訪問しました。
クノッソスの歴史的背景
クレタ島には青銅器の時代、紀元前2000年ごろミノア文明(クレタ文明)が興り、のちのクノッソスの宮殿を含む様々な建造物が建てられました。度々おこる地震にょり修復されながら使用されていたようですが、紀元前1700年ごろのある大地震により旧宮殿は崩壊、その後現在、クノッソスの宮殿として知られている新宮殿が旧宮殿の上に建てられました。
またミノス文明の名前の由来は、クレタ島の伝説の王、ミノス王に由来するようです。この遺跡はこのミノス王の宮殿だったのではとも言われています。
ミノア文明の宮殿は、王が祭祀を行ったり、経済的な中心地といった役割を持っていたそうです。そのため、さらに王の宮殿や広場、様々な備蓄庫、住居などがこの広大な一つの建造物中にそろってます。
そんなミノア文明も、ギリシャ本土のミケーネ文明の侵略により衰退し、次第に歴史の表舞台から消えてきます。
下の写真は、イラクリン考古学博物館で撮影。まずはこちらの博物館で出土品や歴史に関して一通り見てから遺跡を訪問がいいと思います(我々は逆になってしまい後悔しました)。
クノッソスへのルート
クノッソスへはイラクリオンから比較的簡単にバス、タクシー、レンタカーでアクセスが可能です。バスの場合、イラクリン考古学博物館のバスターミナルから2番のバスで約30分でアクセス可能との事です(公式サイト情報)。
Ministry of Culture and Sports | Knossos
我々はレンタカーで向かいましたが、イラクリオンからは南に延びる一本道で簡単にアクセスできました。駐車場も無料で、それほど混雑している印象ではありませんでした(すでに夕方だったからかもしれません)。
クノッソスの遺跡見学
駐車場を含め遺跡の入り口付近はお土産屋が並んでいますが、これほどの世界的に有名な遺跡にしてはやや田舎っぽさを感じます。
単体チケットもありますが、ここはやはりコンビチケットが便利かと思います。
遺跡は南北に延びる谷に沿って東向きの斜面に展開されています。したがって遺跡上部の西側からアクセスすることになります。
イラクリン考古学博物館を先に訪れていない場合には、まずは入り口付近にある下の図から建物のかつての全体像を一見してから見学に入りましょう(写真左手奥から入っていきます)。
入場口を通り東向きに(谷のほうへ)向かうと前面に遺構が見えてきます。
基本的には基礎部部のみが残っており、ところどころ建物の一部のように見える建造物はすべて復元のようです(それもないと元の姿が想像できないと思われる)。
しかし、この発掘の際の修復作業が行き過ぎていたせいか、これほど有名な遺跡にも関わらず、世界遺産へは登録されていません。
そしてすぐに目に入るのが、英国の考古学者エヴァンズ(Arthur Evans, 1851-1941)と共にクノッソスの宮殿を発掘したカロカイリノス(Minos Kalokairinos, 1843-1907)の銅像です。
その場所から銅像の見ているほうを見返すと、少し先にエヴァンスの銅像が見えます。
ルートは西側から南側へ向かいます。ルートして設置されている橋の上からはかつての建物の基礎部分が見えます。
そこから改めて建造物中心部を振り返ると、見えるのは石畳の広いスペース、建物の床かどうか不明。
修復された建物の一部。この遺跡では、建築物らしきものはすべて修復されたもののため、やや興ざめ。でもこれも無しでは、何か全くわかりません。
下の写真のように再建された柱や壁には壁画の一部も複製されています。オリジナルはイラクリオンの考古学博物館でその一部が見れます。
この宮殿の象徴的な装飾『聖なる牛の角』かつてはこの飾りが宮殿の屋根のいたるところにあったらしい。
かつての食料貯蔵庫も兼ねていたといわれる宮殿。レプリカと思われるが、数か所にこのような巨大なツボが展示されている。出土品は例のごとくすべてイラクリオンの考古学博物館。
この宮殿の中央に当たる中庭。そこから見た3階層になった西翼の建造物。
上記建造物の3層目にある小部屋に展示物。色鮮やかな牡牛の壁画のレプリカなどが展示されている。
その建造物の一層目には、控えの間の奥に、『玉座の間』が現れる。写真右手の中央の石の椅子が玉座。この遺跡の代表的な見学ポイント。
下の写真は中には南部にある南からの入り口。
中庭からさらに東翼に進むとやや下がったところに黒い柱の建造物が現れる(王の間)。
さらにその脇から奥に入り、部屋の中を見ると、この遺跡で最も有名と思われるイルカの壁画が現れます(王妃の間)。ここも大切な見学ポイント。
北側に目を向けると、北入り口の建造物があり、壁画には牡牛が描かれています。
遺跡北部にいったん抜けてから中央の西翼の建造物を撮影。
同様に北東から撮影。右手には北入り口の建造物、中央は西翼の3層構造の建築物。
北入り口の建造物を裏側から撮影。
夕方の訪問だったため、混雑は一切なく、見たいところを見たいだけ見ていられるような感じでした。
今となっては、ここに模型や絵で描かれている1500近い部屋を有し、3階建て以上の巨大な宮殿があったとは思えないほど遺構ばかりが残っています。また、近いとは言えイラクリオンから車で15-20分も奥まったこの谷にこれほどの宮殿を築いたのかも、説明を見つけられませんでした。まさに迷宮ですね。
見学に要した時間は1時間半から2時間ぐらいだったと思います。
A24 地球の歩き方 ギリシアとエーゲ海の島々&キプロス 2017~2018
- 作者: 地球の歩き方編集室
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド・ビッグ社
- 発売日: 2016/10/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
イラクリオン考古学博物館の見学
イラクリオンの中心街からやや外れた町の東側、ちょうど町を囲む城壁の上に考古学博物館があります。
なかには、クノッソスの宮殿遺跡からの出土物など、ミノア文明に関係する多くの文化的遺産が展示されています。
1階はミノア文明の出土品がそれぞれテーマごとに仕切られた部屋の中に展示されています。
2階には一部、ミノア文明時代の壁画(クノッソスの宮殿からなど)とギリシャ・ローマ時代の展示があります。
こちらは見学に、やはり1時間半程度費やしたと記憶しています。
感想
個人的な意見ではありますが、(ガイドを付けず)個人で回る場合、まずはイラクリオンにある考古学博物館を訪れ、ある程度、事前に全体像を把握してからクノッソスの宮殿を訪れたほうがより見ごたえがあるのではと思います。
遺跡にもそれぞれのポイントで説明が書かれた看板はありますが、遺跡の全体像、規模感、文化的背景などはやはり博物館に行かないとわかりません。
現場には一部のレプリカなどはありますが、基本的には建物の基礎部分がその多くを占めており、一部復元された建造物から雰囲気は感じ取れますが、当時の姿を連想するのは無理でした。
我々は、先に遺跡を訪れ、その後、博物館を訪問したため、今もって後悔しています。