ロードス島は、ギリシャ・ヘレニズム時代、中世の十字軍時代、オスマン・トルコによる統治の時代と様々な文化遺産が残る島で、特に中心地であるロードス(ロードスタウン)はいまもこの島の中心地であり続けています。
今回はそのロードスタウンから海岸沿いに25Km程度離れた、海からせり立つような山の頂上にあるサンピカ修道院(Tsampika Monastery)へ案内します。
修道院への道のり
ロードスタウンからは島一番の幹線道路である95号線をひたすら南西に向かって進みます。途中何度も水の全く流れていない川を渡り、乾ききった大地の中を進みます(冬は雨が増えて川が流れるそうです)。
途中、時々現れる海を見ながら約30分程度のドライブで、修道院へ向かう脇道へ到達します(ここに路線バスのバス停があります)。
ここからは、舗装されているといってもアスファルトではなく、荒い砂利を混ぜたコンクリ道を進みます。
突然の激坂、ガードレール無し、山の斜面の土止め無し(多少崩れている)の道。車のギアはずっと1速のまま。空に飛びだしそうな道を5分程度登りました。
この道、バスで来た人は歩くんですよね。一組だけ見ましたが、相当きつい上りかと思います。何とか駐車場に到着!
でも、ここからがスタートでした。
ここからこの山の頂上にある修道院まで300段の階段が続きます。10月末の観光シーズン末期でも天気が良ければ気温は25度ぐらい。気合で登ります。
先の見えない上りがどこまでも続きます。途中の斜面には必ずと言っていいほどヤギがいます。これはギリシャの島だとよく目にする風景で、幹線道路がふさがれていることもしばしば。
下を見て歩いていると、ご丁寧に階段数が書かれています。まだ半分!
まだ先は長いし、見えない。
途中、さらにご丁寧に、申し訳程度の休憩用ベンチあり(小さい)。
登るにつれ次第に左右の視界が開けていきます。そうなると少し元気も出てきますね。
そしてついに頂上に立つ聖堂が見えてきます。Monastery(修道院)となっていますが、実際には山の上の礼拝堂といった感じです。
青い空と白い壁の聖堂が非常にマッチしており、さらに岩場を上り詰めた山の上。この日は風も心地よい程度で最高の条件でした!
サンピカ修道院の歴史
どうも歴史ははっきりしていないようですが、古代ギリシャ時代には女神アルテミスの祭壇があったといわれています。少なくとも1770年には一人の修道僧により正教会として再建されたようです。
ビザンチン様式のこぢんまりとした聖堂内はフレスコ画や多くのイコンで飾られています。また赤ちゃん人形や子供服、おもちゃなどのお供え物が多くみられました。赤ちゃん人形のようなロウソクがあったのにはちょっとびっくりしました。これらは11世紀に造られた聖母マリア像が子供のいない女性に奇跡をおこすといわれていて、子供を望む女性が裸足で修道院を訪れ、このマリア像に祈りを捧げると子供を授かることができるという伝承があるからだそうです。
島ではこの教会の名でもあるTsampika(またはTsambika)から男性であれば Tsambikos、女性であれば Tsambika と名付けられる人も多いそうです。
見学について
敷地内はそれほど広くなく、新しい建物(?)の奥に古い聖堂があります。
床は玉砂利を敷き詰めて固めたような造りになっています。(ロードスでは旧市街の道も同じような作り)。
聖堂内部の見学は無料ですが、撮影禁止となっており、写真はありません。小さい聖堂ですが、係員が2人いて、写真を撮る人がでないよう、厳しく目を光らせていました。内部は数人しか入れない程度の大きさでした。
最後に
聖堂の立つ海沿いの切り立った山は、登ってしまえば絶景が広がります。左右にはやや人影薄いビーチを望むことができました(観光シーズンが終わろうとしているんですね)。
改めて離れたところから見てみるととんでもないとところに、ぽつんと聖堂が立っています。幹線道路とバス停は写真外のさらに左手下の方となります。
あまり観光情報がないところでしたが、今も民間信仰の対象となっている小さな聖堂に山の上から見える絶景。行ってみてよかったです。この島も他のギリシャの島同様に、島中にギリシャ正教の教会がありますが、どこを訪ねてもギリシャ正教会ならではの独特の趣がありますね。