さて、今回も2024年10月末に再々訪したクレタ島旅行のお話になります。
オリーブオイル生産量世界3位のギリシャ。
クレタ島を旅するとオリーブ畑をよく目にします。
今回は、歴史あるクレタ島で直販をしているオリーブオイル生産者を2か所ほど紹介していきます。
クレタ島とオリーブオイル
クレタ島でのオリーブの栽培の歴史は、なんと紀元前6000年まで遡るそうです。
オリーブとオリーブオイルはギリシャ文化と深く結びついており、古代ギリシャ人にとっても、食物として、また宗教の一部として日常生活に欠かせないものでした(紀元前 1 世紀には、ハーブの風味を付けた香油オリーブオイルが神に捧げられました)。
現在でもクレタ島では至る所でオリーブの大規模な畑をよく目にします。
クレタ島の気候は温暖で光に満ちているため、オリーブの栽培に最適なんでしょうね。
ギリシャは年間40万トンものオリーブオイルを生産しており世界3位のオリーブオイル生産国です。
クレタ島はその内、約半分に当たる約20万トンを生産しています。
オリーブオイルの品質
高品質なオリーブオイルと言えば、エクストラバージンオリーブオイルを想像されると思います。
国際的な基準では、『酸度』が0.1%から0.8%のバージンオリーブオイルがエクストラバージンオリーブオイルとなります。
バージンオリーブオイルとは、オリーブの実を砕き、絞り、ろ過しただけで精製していない一番搾りのオイルのことです。
品質表示で重要なのは『酸度』となりますが、これは100g中に占める遊離脂肪酸の量を示しています。
遊離脂肪酸は、オリーブの実を収穫した後から増加を始めます。
つまり、収穫後、速やかにオイルを絞り出すことが品質の高いオイルの生産につながります(オイルとなった後は遊離脂肪酸の変化は少ない)。
そのため、高品質のオイルを求める場合は、まずは『酸度』の表示を確認することが大切です。
今回訪れた生産者では、両社とも高品質の証明としてこの『酸度』の低さを力説していました。
無論、食用としては味や風味、香りなどは好みで選択するしかありませんが。
Cretan Olive Oil Farm
最初にご紹介するのはアギオス・ニコラオスの郊外にあるオリーブオイル生産者が直販している Cretan Olive Oil Farm です。
こちらは、施設内をE-Tour(タブレットを見ながら)で10か所の説明ポイントを見て回るプログラムがあります(6ユーロとなっていますが季節外れのせいか5ユーロでした)。
E-Tourではオリーブの種類、収穫、オイル生産の話からワインやチーズの話などクレタ島の特産物に関して英語、ドイツ語、フランス語で説明が聞けます。
全てしっかり聞きながら回ると1.5-2 時間ぐらい掛ります(自由に飛ばして進んでもOK)。
なかなか奥深い話をしっかりと解説しているので興味ある方はじっくり時間を掛けて聞きながら回ると知識が増しますよ。
もちろんツアーに参加せず、ショップのみの訪問でもOKです。
ショップ内にはさまざまな商品がありましたが、やはり狙うはオリーブオイル。
飛行機旅行の悲しさで、量を買い込むことはできませんので、今回はお試しということで試飲したオイルから2種類を購入しました。
1本目は低温圧搾のエクストラバージンオリーブオイル、酸度は0.3%です。このクラスとしてはかなり安めだったので1リットル缶を購入しました(17.5ユーロ、約2860円)。
味的にはスタンダードと表現するのが適切なイメージでしたが、家で試してみたく購入となりました。
2本目は、昔ながらの石臼を用いたハンドメイドオイル、酸度は0.28%です(7.5ユーロ、約1200円)。
100㎖での販売のみですが、他のオイルと比べ、香りや刺激の強さが飛びぬけており、高いのですが買ってしまいました。
おそらく製法上の理由でエクストラバージンオイルは名乗っていませんが、決して品質が劣っているわけではありません。
ギリシャあるあるですが、現金支払いで10%割引がありました(さらに端数切り下げ)。
こちらの生産者ですが、観光シーズンは週末も関係なくオープンしており、様々な企画を提供しております。
ただし11-12月はオリーブの収穫及びオイルの生産時期のため、閉鎖されていますのでご注意ください(そんな季節にギリシャに行く人も稀ですが)。
Lyrakis Family S.A.
さて、次にご紹介するのは、ちょうどイラクリオンとアギオス・ニコラオスの中間地点に位置する Lyrakis Family S.A. です。
広いホールの店内は、オリーブオイル圧搾のための機械とお土産屋が共存しているようなお店でした。
入店後、オリーブオイルと試飲を申し出ましたが、施設の紹介を聞きたいか問われたのでそちらからお願いしました。
担当してくれた方はドイツ在住歴30年ということでドイツ語で説明を聞けたのが我々にとってはとても助かりました。
一通り収穫されたオリーブが洗浄され、砕かれ攪拌され、圧搾される流れを説明してもらいましたが、この施設、他の生産者にも貸し出しをしているとの事で、合計8つに分けて管理を行うことができ、出来上がったオイルも生産者ごとに分けているそうです。
その後は、さっそくオリジナルのオイルを試飲させてもらいました。
ショップ内で販売していた(試飲できた)オリーブオイル自体は3種類で、それ以外は香り付けをしたオイルなどでした(すでに売り切れている種類に関してはもちろん試飲も無しです)。
スタンダードな『Classic』は、クレタ島ラシティ(Lassithi)郡のメランベロ(Merambelo)地区の厳選されたオリーブ畑から抽出された『コロネイキ(Koroneiki)』品種の最高品質のエキストラバージンオリーブオイルです。
このオイルは濃い緑色で、ベルベットのような質感、中程度の強さのフルーティーな香り、そしてわずかにスパイシーな味わいです。
スタンダードなシリーズにしては香りや味わいも含めかなりお買い得なオイルに思えました(酸度は0.2%)。
なぜか缶のシリーズでは酸度が0.4%となっているのですが、ミスプリントとの事、中身は酸度0.2%だから大丈夫と。
値段の方は、1リットル16.5ユーロ(約2700円)でした。
次に『Cretan Villages』ですが、同じクレタ島ラシティ(Lassithi)郡のメランベロ(Merambelo)地区の厳選されたオリーブ畑から抽出された『コロネイキ(Koroneiki)』品種ではありますが、標高の高い村で作られたオリーブの実のみを使用しています(酸度は0.2%)。
軽いスパイシーな味わい、豊かなフルーティーな香り、そして非常に低い酸味が特徴の最高品質のエキストラバージンオリーブオイルです。
実際、試飲でもその凝縮感を強く感じた一本でした。
値段の方は500㎖で8.80ユーロ(約1440円)でした。
最期の一本『First Crop』は、シーズン初期に収穫されるコロネイキ種の厳選された未成熟オリーブを使用しています(酸度は0.2%)。
鉄分、天然の抗酸化物質、ビタミン、ミネラルが豊富なうえ、さらにポリフェノールの含有量の高さにより、貴重な栄養食品および医薬品として注目されています。
濃い緑色、スパイシーで心地よい苦味、ベルベットのような食感が特徴的です。
とてもフルーティーな香りが強いので、熱を通さずに食すのに向いていますね。
値段の方はこちらも500㎖で8.80ユーロ(約1440円)でした。
こちらも現金割引だと思いますが10%強の割引で購入できました(ギリシャは現金払いが重要です!)。
こちらの生産者ですが、同様に11-12月はオリーブの収穫からオイルの生産のため、ショップは閉鎖になりますので注意が必要です。
まとめ
さて、今回はクレタ島東部で訪れたオリーブオイル生産者2社を紹介しました。
中部、西部ではオリーブ畑はあるものの、直販業者が全く見つけれずに苦しんだ我々ですが、東部では何件も見つけることができ、時間を掛けて購入することができました。
現在、少しずつ家で試しているところですが、プロヴァンスやイタリアに比べてかなり安く購入できるため、我が家の好みにあえば今後は大量購入になるかもしれません。
また、クレタ島のオリーブオイルで多く使用されるオリーブ品種『コロネイキ』ですが、食用でも気に入って購入してきました。
粒は小さいのですが、味のバランスがよく、最近のお気に入りオリーブです!
それでは、クレタ島の話、まだ続きますので気長にお付き合いください。