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【ドイツの城】森に囲まれた山頂に残るフランケンシュタイン城址

今回はフランクフルトから南に45キロほど南にあるフランケンシュタイン城址を紹介していきます。

小説や映画のイメージが優先されがちですが、本来のフランケンシュタイン城址やその歴史が気になっていました。

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フランケンシュタイン城の歴史

海抜370メートルの頂に建つこの城の起源ははっきりとしておらず、1252年のコンラード2世の文章に始めて登場するが、その時には城はすでにあったようです。おそらくその起源はフランク王国時代であり、1240年頃の築城と推測されています。

城の名前にもなっているフランケンシュタインはコンラード2世の婚姻によって生まれたフランケンシュタイン侯爵家に由来します。

1402年にはこれまで属してきた他の有力な伯爵家から独立し、神聖ローマ帝国に属すようになったようです。

小説『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』との関係

フランケンシュタインという名は、メアリー・シェリーの名著『フランケンシュタインあるいは現代のプロメテウス』の登場人物であり、その小説から発想を得た怪物映画としてあまりにも有名ですね。

フランケンシュタインというのは怪物を作った人の名前ですが、いつの間にか怪物自体がフランケンシュタインと呼ばれるようになったり、容姿もすっかり映画のイメージが定着しており、アメリカ映画の想像力は昔からすごいものがありますね。

メアリー・シェリーとこの城の関係については、実際に訪れたことは無い様で、しかも小説には城自体が出てこないとの事。 しかし、シェリー夫妻がジュネーブへの旅の際にドイツのライン川渓谷を通ったことから、この城または侯爵の名を耳にする機会はあったのかもしれません。

ヨハン・コンラート・ディッペル(Johann Konrad Dippel)

地元の伝承や今日の城の管理者によると、1673年にこの城で生まれた神学者錬金術師、医師のヨハン・コンラート・ディッペルは、ここでさまざまな錬金術実験を行ったそうです。

さらに当時のディッペルは死体泥棒だと非難されており、彼が解剖学にも興味を持っていたことを考えると、あながち根拠のない非難であるとも言い切れないらしい。また時にディッペルは「フォン・フランケンシュタイン」と署名することがあったが、実際にはフランケンシュタイン家の子孫ではない。

また1693年にギーセンで学業を終えたディッペルだが、ニトログリセリンの実験などを行ったされる逸話もあるようだが、そもそも、ディッペルの時代にはニトログリセリンは発見されていなかったので、作り話なのでしょう。

ディッペルに関するこれらの「新しい」伝説は、『フランケンシュタイン城』の著者であり自称作家であるウォルター・シェーレが1999年に出版した本によって広められました。この本では、ディッペルがメアリー・シェリーの著書『フランケンシュタインあるいは現代のプロメテウス』の歴史的モデルだとも主張しているが、この論文は証拠や文献がないためエーベルシュタット・フランケンシュタイン歴史研究会では否定的であるようです。作家シェーレの資料は、これまでも何度も誤りであるとか、単なる捏造であると言われてきたそうです。

つまり、実際のフランケンシュタイン城(フランケンシュタイン侯爵)、メアリー・シェリーの小説、ディッペルの逸話のどれもが繋がっているようでハッキリしない!

フランケンシュタイン城址見学

前置きが長くなりましたが、城址のほうを見ていきましょう!

まず入場は無料です!、城址は山の頂上ですが、そのすぐそばに駐車場もあり、こちらも無料です。

駐車場からはやや下から城の塔を見上げるように入り口に向かいます。

城の入り口には開門時間などの看板がありますが、どうも日の出から日の入りまでのようです。

活動のメインは付随するレストランでこちらの営業時間はバッチリ書いてあります。

https://www.frankenstein-restaurant.de/

眺めが良さそうなので夜とかもいいかも!

さて本来のお城の入り口はこちらの門をくぐって進むようです。

いったん城内へ足を踏み入れると、ドイツの中世の城址らしく無理な修復は行われておらず、適度に残っているといった印象です(そうはいっても塔など見晴らしのいいところは再建されている)。

このまま本丸の方へ進まず、堀の部分にあたるところへ降りてみると、お子様用のセットが残っていました。

ドイツの中世の城址では、よく『中世祭り』、『騎士祭り』のような子供のお祭りをやっており(大人も楽しむが)、必ず子供は木製の剣と盾を持って遊びに来ます!(または売っており子供にせがまれる)

この日も、小さい男の子がしっかり剣と盾を持って遊びに来ていました!

さて、本丸と思しきエリアまで来るとテープが張られて広場に入れません。中は舞台の跡や照明などが置かれたままになっており、何か催しものが行われていたようです。

それでは、脇から階段を上って正面に見える塔へ登りましょう!

塔の中には木製の階段がしっかり作られており、もう一段上の階へ行くことができました。

塔からはおおよそ城址全体を見渡せます。正面には入り口の塔が見えますね。

ここからは、ほぼ四方を見渡すことができ、北方には、先日紹介したダルムシュタットやさらに北にはフランクフルトの高層ビルが見えました。

ここの城址の場合、入り口に少しだけ歴史の説明看板がありましたが、中に入ると一切の説明は無く、展望台または公園といった感じでしょうか?

訪問している人も、この城目当てというより、自電車で登ってきて休憩する、ハイキングで立ち寄る、といった方々がほとんどでした。

天気のいい日に散歩に来る、または天望レストランでゆっくり寛ぐのがいいのかな?

フランケンシュタイン城址への行き方

フランケンシュタインは、『マチルダの丘』で紹介したダルムシュタットの南、エーベルシュタット地区のそばのミュールタールにあります。

車でのアクセスは問題ないのですが、公共交通機関では山のふもとまで。ダルムシュタットまたはDarmstadt-Eberstadt駅からタクシーなどをアレンジするしかないみたいです。

最後に

今回は、以前から名前が気になっていたフランケンシュタイン城址を紹介してみました。

初めてきちんと調べてみてわかったことは、歴史上は小説や映画との関連が無いということ。そのため、公式にはこれら小説や映画の話は出てきません(ここにあるレストランのサイトには出てきます)。

また、近年はすっかりドイツでも人気のハロウィンでは、ここで大大的にパーティーが行われていたりします(ドイツ内での大規模らしい)。

ご存じのようにドイツにはこのような城址が数百はあるのではと思います。これからは時々、ちょっとマイナーはお城を紹介していきます。